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レーザーの歴史

アブレイティブ(浸襲型)・フラクショナルレーザー機器の登場

2008

2008年よりフラクセル(フラクセル:リストア)を中心としたダウンタイムの時間が短いノン・アブレイティブ(非浸襲型)・フラクショナルレーザー 機器から、肌を実際に蒸発させる波長をもつアブレイティブ(浸襲型)・レーザー 機器が開発販売されるようになりました。
実際に機種は、CO2フラクショナルレーザー(ルートロニック社のeCO2、ルミナス社の Active FX・Deep FX 、ソルタメディカル社の フラクセル:リペア他15社)やYSGGレーザー(キュテラ社:パールフラクショナル)などが挙げられます。

より詳しく説明しますと、生体に熱刺激を加えると、皮下のタンパク質は、以下の図のような三つのパターンの反応を起こします。

低いエネルギーが入った場合、熱刺激(コラーゲン・エラスチン増成)

中等度のエネルギーが入った場合、熱凝固(組織変性および壊死)→日単位の組織の入れ替え

高度のエネルギーが入った場合、熱破壊(蒸散)→週単位の組織の入れ替え

…と大きく反応が変わるのです。

これらの反応を、使用するレーザー波長変えることで、うまく調節をして治療効果を上げることができるようになったのです。

これらのレーザー機器の働きを図で表現して比較すると、

〇「熱刺激」部位がオレンジ色

〇「熱凝固」部位が赤色

〇「熱破壊」部位が白色

の部位を表しています。

フラクショナル・レーザーと一言で言っても多種多様の種類があり、一種類にまとめてしまうことができないのがわかります。

特にこのフラクショナル・レーザーのなかで、2790nm(YSGG)や、2940nm(Er-YAG)や 10600nm(CO2)がベースでタンパク質の蒸散と破壊を利用したものが、「アブレイティブ・フラクショナルレーザー機器(AFLR)」と分類されるようになりました。
一方で、凝固変性を利用したものが、1500nm周辺のエルビウムグラス、もしくはエルビウムヤグレーザーを利用した フラクセル2やアファームマルチプレックス。

これらをノン・アブレイティブ・フラクショナルレーザー機器(NAFLR)と分類するようになりました。

2009

2009年に入ると、これらのフラクショナルレーザー機器に少し工夫が加わります。

その内のひとつが、シネロン社によってこの年販売されたフラクショナルRF機器 eマトリックス です。

フラクショナル機器にレーザーを使用すると、レーザー光の深達度の問題で、皮下の深い部分に伝わるエネルギーは必ず表皮よりも減衰します(左図)。
しかしながら、RFを利用すると、理論上、肌の深い部分のほうにより多くのエネルギーが加わることになります。
熱刺激により強い真皮を効率よく加熱することは、深いニキビ跡の治療などにはより適しているのです。
こうして、レーザーによる皮膚治療は、肝斑治療、ニキビ跡治療、若返り治療・・・と、2000年代にその治療の幅を確実に大きく広げ、次の10年=2010年代から始まる新しいフェーズへと入ることになります。

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