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レーザーの歴史

あざやほくろに効くレーザーの登場

レーザー光線の波長、パルス幅、出力によって肌の下でメラニンやヘモグロビンなどの特定の色素物質を分解できるという事はロックス・アンダソンらによって指摘されましたが、脱毛レーザー開発とほぼ同じ時期に、あざやほくろをとるためにメラニン吸収を主体にしたレーザーが開発されました。

この中で初期に主に使われた波長が 694nmのルビーレーザーでした。
この波長はメラニンへの吸収性がよく、それに比較してコラーゲンやヘモグロビンへの吸収率が低いため、茶色いメラニンには使用しやすかったのです。

この種のレーザーでも技術革新が進みます。
実際にレーザーを照射する時間を 「パルス幅」 というのですが、この幅が短ければ短いほど、標的物質の周辺にある組織に対して熱が伝わる時間が短くなり、選択性が上がります。
メラニン色素を破壊するためのレーザーはこのパルス幅を短くする技術の競争になりました。

■パルスの幅が ミリ秒(1/1000秒)単位のものを 「ロングパルスレーザー」
■その1,000分の1単位の マイクロ秒(1/1000000秒)単位のものを「ショート(もしくはノーマル)パルスレーザー」
■そのまた1,000分の1単位の ナノ秒(1/1000000000秒)単位以下のものを 「ウルトラショートパルスレーザー」
と言います。

このウルトラショートパルスを発生させる光学レーザー装置は Qスイッチレーザー と総称され、現在はナノ秒の1000分の1単位のピコ秒、さらにその 1000分の1単位のフェムト秒 のレーザー機器も開発されています。

ナノ秒単位のQスイッチレーザーは 694nmのQスイッチルビーレーザー、755nmのQスイッチアレキサンドライトレーザー 、さらに1064nmのQスイッチNd:YAGレーザーが開発されました。
これらのレーザーは、いったんあざやほくろにレーザーを打ち込むと、色が変わり、3週間ぐらいでかさぶたと共に、あざやほくろが取れるというものでした。

レーザーの歴史上、ここまでを アブレイティブ・レーザー Ablative Laser と言います。肌にいったんかさぶたを作ってダメージを与え、数週間後に肌を治そうという考えです。
しかしながらその後、施術後すぐにメイクをして帰れるという「Non-ablative skin rejuvenation」の技術が開発されて、光治療器やレーザーを使用した肌の若返り療法は一気に加速します。

いわば、レーザーや光治療器は、ほくろやシミを対象とした手術室の"メス"から、顔全体のホワイトニングを行う"美顔器"的な存在へと変化してゆくわけです。

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