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レーザーの歴史

レーザー脱毛器の誕生

1983

1983年、ハーバード大学皮膚科ウェルマン皮膚研究所の ロックス・アンダソン と J.A.パリッシュ が「Selective Photothermolysis(選択的光熱融解理論)」という論文を、著名な科学雑誌 サイエンス にアクセプト(採用)させました。(Anderson & Parrish, Selective Photothermolysis, Science, vol.220, page 524-7)
この理論は、 「(レーザー光の)波長、光の照射継続時間(パルス幅)、単位面積あたりに照射する光エネルギー量の適切な組み合わせによって、生体の限定された領域に光熱分解を生じさせることができる」 というもので、光の波長(Wavelength)、照射持続時間(Pulse dilation)、そして単位面積当たりのエネルギー量(Fluence)の3つの要素を調節して照射すると特定の色素、細胞、そして細胞内構築物を選んで、融解する、もしくは組織の急速な温度上昇に起因するショックウェーブの機械的な力で組織を破壊することができる という理論です。

この論文には、標的色素のうち微小血管のオキシヘモグロビンと、メラノゾームのメラニンの二つの色素について特に詳しい記載があります。
実験の際、ロックス・アンダソンのチームが、レーザーを使用して目の周りのアザの治療を行っていた時に眉毛が生えてこなくなったという事実に着目しました。
この事実から、「レーザーを使っての永久脱毛の可能性」を見出したとされています。

1996

そして1996年、M.グロスマンによって、ルビーレーザーを用いた世界初の脱毛機が誕生する運びとなったのです。
このレーザーは、皮膚表皮にメラニンが少ない白人にのみ対応可能で、有色人種の皮膚の表面に含まれるメラニン色素に過剰反応してしまい光が毛根まで届かなかったり、表皮に火傷を負わせてしまうなどの結果を招きました。

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1996年、アメリカの フルモト氏(日系人) が、有色人種にも対応できる最初の脱毛レーザー サイノシュア社LPIR(ロングパレスアレキサンドライトレーザー)を開発しました。
それがアレキサンドライトレーザーです。
アレキサンドライトという人工宝石を用いて、755nmという波長を出すレーザーでした。

1997

日本にも、その翌年 1997年に株式会社JMECにより輸入されました。

その後、よりパルス幅(照射時間)が短いキャンデラ(Candela)社のアレキサンドライトレーザージェントルレーズ(GentleLASE)=冷却ガスとともに照射されるレーザーが日本に入ってきました。
パルス幅が短いことによって、より細い毛にも対応可能となります。
さらに、コヒレント社より半導体を使ったダイオードレーザーである ライトシアー(Light Sheer) が登場しました。
ライトシアーは先端のハンドルピースに冷却装置がついているために火傷を起こしにくく、パルス幅も1秒当り 5~30ミリと広くなっているのが特徴でした。

1999

レーザーの性質上不得意分野とされているうぶ毛の脱毛にも効果を発揮し、男性のヒゲの脱毛にも利用されているこのダイオードレーザーは、1999年4月 永久減毛(Permanent Hair Reduction) として世界初のFDA承認を受けました。
次に脱毛の世界に入ってきたレーザーがロングパルスヤグレーザー(波長1064nm)。肌の色の濃い部位や毛根の深い場所の脱毛に最適なレーザーです。
メラニン色素への吸収率は波長が長いほど低いので、1064nmのヤグレーザーは色素が多い肌には有利になる点が特徴として挙げられます。また、特筆すべき点は日焼けした皮膚上の細く薄い毛をも処理することができたということでしょう。メラニンに対する吸収率が高くないので、照射エネルギーをあげてもヤケドを起こすリスクがずっと減少するのです。アメリカでは、黒人やヒスパニックの脱毛に多く用いられています。

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