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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

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開業医のためのポスト・マーケティング時代①

昨日、今年最後の講演が無事終わりました。

場所は御殿山。現在東麻布から一時移転中の「東京アメリカンクラブ」です。

移転中のアメリカンクラブには、僕は初めて行ったのですが、とても綺麗な場所でした。

今回お声を掛けてくださったのは、「日本アンチエイジング歯科学会」という学会です。この中の、特に光治療の分野に携わる40人前後の歯科医師の方が、この日は「レーザー部会」という名の下集まっておられました。

僕が講演を依頼された演題は、「光学医療とマーケティング」について。

「マーケティング」

という考え方が、日本の医師や歯科医師の中でも徐々に浸透してきました。

「マーケティング」の定義は様々あり、一般的な概念についてはフィリップ・コトラーなどの著作を読んでいただくとわかりやすいと思うのですが、

商品やサービスが「売れる」ためには、

顧客のニーズをまず知り、

ニーズを満たす商品やサービスをつくり、

顧客がその商品やサービスの存在を知り、特徴を理解し、

手に入る場所に商品とサービスが置かれ、

さらに、それを入手できる適切な価格で提供されている必要があります。

しかし、この10年のインターネットの普及によって、このマーケティングの仕組みが大きく変わって、もしかしたら今までの「マーケティング」的ツールが通用しなくなり、「ポスト・マーケティング」時代に突入しているのではないかと思うときがあります。

特に、「サービス」と「商品」について、それぞれ独自のアプローチが必要になってきたのが特徴だと思います。

ちょっと診療に入ってしまうので、続きは後ほど。


2009年レーザー機器総括③

2008年12月の話ですが、米国カルフォルニアで生まれ、新技術を持った二つのレーザー会社の合併が行われました。

ひとつはThermage社。

1995年に設立され、肌を引き締めるタイトニング効果があるRF機器、サーマクールの米国特許を1997年に取得し、2002年FDAの認可を取った機器を開発した会社です。

もうひとつはReliant社。

こちらは2001年に設立され、フラクショナル光融解理論と呼ばれる理論を構築し、レーザーを使用して、肌を安全に入れ替える技術であるフラクセルを2005年に販売した会社です。

サーマクールは、今まで不可能だと思われていた肌のタイトニングを可能にした機器であり、フラクセルは特にアジアンスキンには、肌を「改善する」レーザー治療から、「肌の入れ替える」レーザー治療にパラダイムシフトさせた機器。

ともにこの2000年代のマイルストーンになった機器です。

2009年には、この二社が合併して「ソルタメディカル社」となり、お互いの技術がシナジーを起こし、二つの新しい機器が生まれることになりました。

ひとつが先日ご紹介した サーマクールCPT いわゆる第三世代のサーマクールです。

バイブレーターとクーリングパルスによって痛みを弱め、照射部位に対してより効果が高くなるように新しいアルゴリズムが開発されました。

そしてもう一つが、8月にデビューが発表されたフラクセルⅢに相当する

「フラクセル レストア デュアル」

です。

この新フラクセルは通常の1550nmのエルビウムグラスレーザーに加えて、

「ツリウム」というランタノイド系列元素の波長1927nmのツリウムファイバーレーザーが付加されるのです。

ツリウムレーザーは、現状のフラクセルに比べて浅い部位に効果があり、今までのフラクセルが得意としていなかった色素斑などに、より効果があると期待されています。

また、スキャナーデザインを変えたことによって、今までの25%増しに施術のスピードが上がります。

日本での発売は来年になってしまうそうですが、二社の技術者達のシナジー効果によって生まれたこの二つの新機種は、来年に向けてとても期待ができるレーザー界の新星と言えますね。


2009年レーザー機器総括②

2009年のレーザー市場を語る上で欠かせない重大ニュースが、9月に発表された新興シネロン社による老舗キャンデラ社の買収です。

イスラエル・シネロン社は、フォトフェイシャルの開発で有名になった、同じくイスラエル・ルミナス社からスピンアウトした集団が作り上げた会社です。

「わたしの肌は光で洗う」

これが当時フォトフェイシャルにつけられたキャッチフレーズ。

「フォトフェイシャル」「IPL」「APL」「フラッシュランプ」・・・と呼び方こそ会社や機種によって変わりますが(写真は国内で使用される代表的なIPLの機器達です。)、いずれもレーザーではない、ナロー(狭い)バンド(波長の帯)の光を使った治療器という点では一緒であり、このデビューはそれまでの美容市場を一気に変えてしまうことになります。

それまで脱毛や、ほくろやイボ、アザなどを取ることが主な仕事だったレーザークリニックが、これらの機器が市場に出てきたことによって、立ち居地が変わり、役割が大きく変化し

今まで「シミ」なら「シミ」、「ほくろ」なら「ほくろ」、「あざ」なら「あざ」をそこにフォーカスを当て“点”で治療をするメスのような使用法であったレーザー機器ではなく、顔全体を”面”で治療する光治療器の登場によって、「美肌」をレーザーや光によって追求する「美容医療」という分野が新たに生まれ、新規クリニックを開業する医師が一気に増えることになるのです。

そういう意味で、フォトフェイシャルは美容の歴史を塗り変えた一台であり、日本に関して言えば、それまでの医師の常識では想定できなかった「美容で開業する」医師を飛躍的に増やすきっかけとなった、エポックメイキングな一台と言えます。

シネロン社は、特にRFと光治療器を合わせたelosシステムを開発して、「オーロラ(フォトRF)」、「ポラリス」、「ギャラクシー」、「リファーム」、「マトリックスIR」、「トリニティ」など、独自に名付けた施術とそれに使用する機器を開発してきました。

現行の最新機器は、

■ e-light

■ e-laser

■ e-max

この三つ。

この中の最上機種のe-maxでのみ施術可能な「トリニティ」と呼ばれる、「色彩+形状+感触」というトリプルの問題に働きかけ、相乗効果でより改善のクオリティと速度を高める施術が、クリニックFでは現在最も人気の施術になっています。

施術内容を具体的にここでご紹介すると、トリニティでは上の三つのハンドピースを使用して

①表皮のホワイトニング(ブライトニング)

②真皮のタイトニング

③角質表面のリサーフェシング

を一回の施術で行い、さらに

④その3つの働きの相乗効果

で、肌を確実に若返らせるのです。

僕の過去の診療経験上、肌を数歳若返らせるためには

○20代の肌にはホワイトニングの施術が

○30代前半の肌とアトピーによる色素沈着肌にはホワイトニングとタイトニングの施術が

○30代後半からの肌と、ニキビ跡にはホワイトニング、タイトニング、リサーフェシングの三つの施術が

必要だと思っています。

若々しい肌とは、

黄身がかったくすみがなく、ピンクがかって透明感があり

パツッとしたとした張り感があり、

モチモチ感のある表面が滑らかな肌

だと思います。

昔はDNA遺伝子の良い、一部の人しか若い肌を維持することはできなかったと思うのですが、今はレーザー/光治療によってこうした肌を手に入れられるようになりました。

トリニティは、現在の施術方法の中では、そのために最も効果的な施術だと言えるでしょう。


EADV クリスマス・グリーティングカード

グリーディング・カードが届く季節になりましたね。

今日メールを開けてみたら、ヨーロッパ皮膚科学会 (EADV) が会員全員にグリーディングカードを送ってきていました。

綺麗なのでアップしておきますね。

今年のEADVは、
春期はルーマニア・ブカレストでの開催。本会はドイツ・ベルリンでの開催でしたが、

来年は春期が5月にクロアチアのCAVTAT開催。

僕は偶然にも、2006年にギリシャのロードス島で行われたEADVの時に、この地を訪れています。

ドブロニックという都市の近くにある港町です。

本会は10月にスウェーデンのGOTHENBRUGで行われるようです。スウェーデンには行った事が無いので、本会には参加したいですね。

どんなレーザーを使って演題を出そうか、考え中です。


2009年 レーザー機器総括①

さて、年末が近づいてきたので、今年一年様々な学会を回ったり、臨床現場で治療を通して得てきたレーザーと光治療器に関する情報をここで総括したいと思います。

何回かに分けてお届けしますね。


2009年のレーザー市場の総括として、まず僕が注目したいのは、アブレイティブ・フラクショナル・レーザー機器がアジアンスキンに対して使用されるようになったことです。


2005年に「肌を入れ替える」という衝撃的なコンセプトの元デビューを果たしたフラクセル以来、
「ノン・アブレイティブ・フラクショナルレーザー」と呼ばれる機器がいくつもデビューを果たし、その市場が確立されました。


皮膚に点状にレーザー照射して円柱状にタンパク質を変性させ、変性した部位を、部分的に
若い肌に入れ替えてゆくという、一見アグレッシブな施術が、「ノン・アブレイティブ」という名のとおり、ダウンタイムが1~2日で済んでしまう。ここに多くのドクターとクライアントが引き寄せられました。


それ以降はこのフラクセルが基準となり、「フラクセル
より効果の高いレーザーを」と、各社が模索する流れが新たに生まれたのです。


ただ、フラクセルよりも効果の高いレーザーを追求してしまうと、「ノン・アブレイティブ」ではなく「アブレイティブ」にどうしてもなってしまいます。

アブレイティブは、欧米人の皮膚には耐えられますが、アジア人の皮膚には強すぎるというのが定説。


「フラクセル以上の機種が出ても、それはアブレイティブにならざるを得ないのだから、そうであればアジア人の皮膚には使えないだろう。」

これがレーザー関係者の一致した意見でした。


ところがこの定説がくつがえることになるのです。


CO2レーザーやエルビウムヤグレーザーを中心とした、アブレイティブ・フラクショナル・レーザーが、2007年に開発されるのですが、これを欧米人の中でも皮膚の色が比較的濃い中南米や南欧で生まれ育った人々の皮膚に使用してみたところ、予想に反して結果が良く、ダウンタイムも少ないことが臨床報告でわかってきました


これを聞いたアメリカやヨーロッパ在住の中国や韓国のドクターたちが自国のクライアントに試してみたところ、こちらでも結果は良好。


いくつもの臨床例を踏まえて


「アブレイティブ・フラクショナル・レーザーは、アジアンスキンに対しても有効であり、安全である」


という報告がなされ、
2008年半ば頃から、アジア人の肌にも使われるようになったのです


クリニックFでも、2007年の終わりにルートロニック社eCO2(エコツー)を導入し、2008年から本格的にアブレイティブ・フラクショナル・レーザー機器を導入、使用してきました。


ニキビ跡や、ひどく毛穴が開いた肌のように、今までの治療方法では治療効果が出しにくい症例に対して、予想以上の効果があり、患者さんに喜んでいただいています。



また、フラクショナル機器自体にも変化がありました。


ひとつは、シネロン社から発売されたe-matrix (イーマトリックス)です。


この機器は、レーザー光ではなく、RF(ラジオ波)をフラクショナルに照射するというもの。


通常のレーザー光を使用すると、肌のメラニンや水に吸収されて、エネルギーが減衰するため肌の表面に強く、肌の奥に弱く効果が出るのですが、

RFを使用すると、本来エネルギーが必要な真皮により強いエネルギーが入るのです。


クリニックFでは、この
e-matrix (イーマトリックス)をテスト機の段階から使用していますが、フラクセルとの併用療法に特に効果があると思います。

 


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