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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

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人間の体は左右対称なのか?

クリニックで皮膚・・・主に顔をメインとしたアンチエイジング治療を行っていると、患者さんの顔を診察でも治療でも、経過の写真でも毎日観察することになります。

そして思うのです。

人間というのはつくづく左右対称ではないのだな、と。

だからこそ、美術や建築などの世界では、シンメトリー(対称性)・・・左右対称な様式美を追求してしまうのでしょうね。自分が不完全であることを知っているからこそ、「完全」に憧れてしまう。

医者の視点で解剖学的に人体を考えると、そこからすでに人間は左右非対称です。

人間の体を縦に真っ二つに切ったとき、右半身と左半身では、どちらが重いかご存知ですか?

一般の人は心臓が左にあるのだから、当然左が重いのではないかと考えるかもしれません。

ですが、実は心臓に関して言えば先端が左にあるというだけで、実質心臓の大半は体のほぼ中央にあります。

では、どちらが重いのでしょう?

正解は右半身です。

人体の中で脳の次に重い実質臓器は、肝臓です。肝臓の体積の内、その8割が身体の右半分にあります。

真っ直ぐに立っているつもりが、鏡で見ると右肩の方が下がっている場合があります。あるいは右足の方が長く感じるときがあります。これもこうした臓器の位置による影響があるのです。

また、船や車、バスなどで車酔いを起こしたとき、右を下にして横向きになると楽になると聞いたことはありませんか?

これは、胃の位置が関係しています。

胃は右を下にしたほうが安定するので、胃の内容物が逆流しづらくなるのです。

他には、妊婦さんが横になるとき、左を下にして横向きで横になるとよいと、医師が指導する場合があります。

妊婦さんは子宮が大きいので仰向けで長時間眠ると、子宮が背骨の右側にある下大静脈を圧迫します。心臓へ戻る血液が減少すると、動悸や息切れがおこり、貧血と同じ状態になります。母体に酸素が不足すると赤ちゃんも苦しくなるため、左を下にすることで、下大静脈の圧迫が減り、血液の循環が良くなるのです。妊婦特有の腰痛も、左を下にして、クッションや枕などを膝で挟むことで軽減されます。

右脳と左脳がまったく違った働きをすることも、最近わかってきましたよね。

美容医療の現場でも、ニキビやたるみ、シワ、毛穴・・・など、いずれをとっても左右対称ではなく、どちらかの方が他方より、より深刻です。

最近「身体のゆがみをなおす」「左右対称に近づける」という施術があるようですが、これらは体をスケルトンにした、いわば骨格組織だけを考えた施術なのかなと考えさせられます。

医師の視点で考えれば、「左右対称に近づける」のではなく、「左右非対称」を受け入れ、左右どちらの機能も理解し、その上で「相互作用」の視点からどちらもうまく活用する為にはどうしたらいいのか考えていく方が、建設的のように思います。

人間は、左右非対称であることに意味があるわけですからね。


歯茎から血!!

パリから帰国したのは先月の15日でした。報告をブログに書くだけで一ヶ月かかってしまった計算になります。

それにしても2008年も海外出張が多い年でした。

2月 エジプト カイロ大学でレーザーの講義

3月 ニューヨーク レーザークリニック見学

4月 フロリダ 米国レーザー医学会(ASLMS)発表

5月 イースター島 方位取り??

6月 ソウル 韓国美容皮膚科学会 招待講演

7月 シンガポール IMCAS 招待講演

7月 南アフリカ エンビロン開発医Dr.フェルナンデス訪問

8月 カナダ コントロバーシー&カンバセーションズ 学会参加

9月 ベトナム レーザーワークショップ

9月 ベトナム レーザーテレビ出演

9月 NY・ボストン ハーバード大学ウェルマン光医学研究所訪問

9月 パリ ヨーロッパレーザー皮膚科学会(ESLD) 学会参加

9月 パリ ヨーロッパ皮膚性病科学会(EADV) 学会発表

来月の頭にはイスラエルの出張も控えていますが、今年に入って出張した国は、すでに12ヶ国を数えます。特に9月は月の半分が海外出張でした。

最新医療の、こと1年おきに新しく登場するレーザー治療に関しては、当然、教科書も出ていないですし、実際に学会に参加してディスカッションすることで得られる「生」の知識がとても大切だと思っています。

「こんな話がされていた」なんていう学会の報告書をもらっても、あまり役には立ちません。

カタログ上に出ているスペック表を見ると、理論上は同じ機能があるはずのレーザー機器も、製造会社の技術力によって安定度や効力が全く違うことがあるのです。

また発表、講演するドクターも、企業が用意したプレゼンテーションを使用するときもあり、発表自体が企業寄りのデータになることもあります。

最新鋭の機械を扱うこの分野に関しては、いくら時間がかかっても、現地に足を運び、開発者と、使用者に腹を割って話を聞いて、実際に使用してみることがとても大切なのではないかとおもいます。

患者さんに質問されたり、レーザーの治療効率が悪かったりするときに、ふと、

「そういえば前の学会でそんな話をしていたな」

と思い出すのです。

意識の下に知識が刷り込まれるのでしょうね。

閑話休題

今までもいくつもレーザークリニックに携わってきましたが、代診の医師を入れてしまうと、患者さんとの距離が遠くなってしまいます。クリニックFに来てくれるレーザーの患者さんは、非常勤医師を入れずに、からなず自分で診ようと思ってこのクリニックを作りました。

でも、東京で外来をやりつつ、これだけ出張すると、疲れもたまります。さすがに先月は体力が落ちてきて、先月のパリでは滞在中に奥歯の歯茎が剥けて、なんと血が出てきたのです。

歯茎から出血するとき、歯科医ならばだれでも歯周病を考えるといいますが、医師ならまずビタミン類(特にビタミンC)の不足による栄養不足を考えます。

もちろん単なる栄養不足なら安心なのですが、白血病などの血液疾患の初期などでも歯茎の出血が起こります。

血友病や、紫斑病、血小板減少症、肝硬変のように、血液凝固にかかわる因子が低下している場合も起こります。もっと悪いと歯肉癌などの悪性腫瘍の可能性もあります。

今回は栄養が問題だったらしくて、出血は帰国したらすぐに治りましたが、海外でそういったことがおこると、たとえ医学の知識を持っていたとしても、びっくりしますよね。

そんなこともあって、実は今月、北京で行われる中国形成外科学会で招待講演を依頼されていたのですが、初めて国際学会の講演依頼をお断りしてしまいました。この10月は、久しぶりに一度も海外出張のない月を迎えているのです。

こうしてそろそろ紅葉の季節を迎える日本で、日本ならではの食事が毎日続く生活を送っていると、

「やっぱり日本はいいところだな」

と改めて感じています。


モン・サン・ミッシェルの修道院

 モンサンミッシェルは修道院というより、城か砦のような外観です。

近くの村=アヴランシュの司教であった聖オベールが、夢の中で聞いたミカエルのお告げに従って、この地に礼拝堂を建てたのは、708年10月のこと。

何と偶然にも今年はモンサンミッシェル1300周年の記念すべき年だったのです。

岩場の中の限られた土地に8世紀に建てられた小さな修道院は、15世紀までの間にヨーロッパに訪れたいくつもの建築様式によって変化を加えられながら増築されました。

10世紀にはベネディクト会修道院。

11世紀にはロマネスク様式。

そして12世紀にはゴシック形式へ移り変わります。

この島は、ノルマンディー地方とブルターニュ地方の境界にあたります。

14世紀の百年戦争時にはイギリスから本土を守る要塞の役割を果たしました。

この際にモンサンミッシェルを守る110人の騎士が、潮の力を利用して二万人の英国兵の攻撃を押しのけるという偉業を果たしたため、今でもモンサンミッシェルはフランスの愛国心の象徴となっています。

また、16世紀に起こったカトリック教会とプロテスタント教会の争いである宗教戦争においては、カトリックの要塞であるモンサンミッシェルはプロテスタント教徒の攻撃の対象になりました。

1789年のフランス革命では、体制の変化によって社会からはじき出された作家や聖職者がこの島に送り込まれました。ナポレオン1世の時代には、牢獄島としても15000人もの囚人が収容されたのです。

暗い歴史を経たのち、1874年になって初めてモンサンミッシェルは政府の歴史記念物に指定され、西洋の歴史の遺産としての栄光を取り戻すことになりました。

今ではフランスでも観光地の人気ランキング第2位になっているそうです。

では、一位はどこでしょう??? 考えてみてください。

答えはこのブログの最後に書きますね。

礼拝堂は質素なロマネスク風の造りですね。

そして、ラ・メルヴェイユ(驚異の建築)と呼ばれるゴシック建築の回廊は素晴らしかったですよ。

回廊の天井には葡萄を食べるドラゴンの彫刻がありました。

竜は東洋では善の象徴ですが、西洋でのドラゴンは悪の象徴になります。

葡萄はキリストを暗喩しているのでしょうか…。

窓の外を見ると、かなりの高さですね。足がすくみます。

そして大天使ミカエルの像を載せた尖塔。

ある意味、天にもっとも近い場所なのかもしれませんね。

このツアーは朝7時にパリを出てから14時間もかかりましたが、無理してでも行く価値は十分ありました。

一泊できれば夜のモンサンミッシェルの景色を楽しめたかもしれません。

夜景も心に残るほど素敵らしいそうです。

ところで、この地が「一番人気の観光地」の称号を譲り渡した場所は…。

ディズニーランドだそうです。

まあ、仕方がないのでしょうか・・・納得ですね(笑)。


モン・サン・ミッシェルのメインストリート

島の入口から修道院へは、島の大通りを通っていきます。土産物屋やホテル、レストランなどでぎっしり。

島の人口が30人余りのところに、年間観光客が250万人も集まるのだそうです。

一大観光地ですね。

通りには、モンサンミッシェルの名物=巨大オムレツのお店があります。

レストラン「ラ・メール・プラール」1888年に創業です。

世界中から島にやってくる巡礼者のために、栄養とボリュームのある食事を作りたいと考えた「プラール」さんという女性が作ったのがこのメニューなのだそうです。写真でその巨大さわかりますか??

味はちょっと薄いかも。

醤油をもってくるべきだったな。

土産物屋には絵ハガキも置いていました。

富士山(FUJIYAMA)とモンサンミッシェルや、北斎の絵とのマッチングもあり、面白かったですよ。

こんなカップも売っています。

狭い路地を歩いて行くうちに、とうとう修道院の入口にたどり着きました。


モン・サン・ミッシェル

パリ滞在最終日。

以前から一度行ってみたかったモンサンミッシェルへの日帰りバスツアーに参加しました。

パリの街を抜けて高速道路をひたすら西に。約400km移動したところにモンサンミッシェルがあります。

フランスは農業の国ですので、ちょっと田舎に出るとこのような牧草地がつづいているのです。

モンサンミッシェルはノルマンディーの砂地にそそり立つ城砦のような修道院です。

「モン」は「マウンテン」つまり「山」

「サン」は「セント」つまり「聖」

「ミッシェル」は「ミカエル」つまり天使の名前を意味するもので、

「聖ミカエル」の山というのがこの場所の直訳になります。

この「ミカエル」という天使は旧約聖書の「ダニエル書」に名前が現れ、ユダヤ教からキリスト教そしてイスラム教へ引き継がれました。

キリスト教では「ラファエル」「ガブリエル」「ウリエル」とともに四大天使の一人と考えられてきました。最も偉大な天使とされています。

現在のキリスト教でサタンを意味する堕天使ルシファー(天使名はルシフェル)とは兄弟だったという説があります。

ルシファーで思い出しましたが、1987年に公開されたアラン・パーカー監督のアメリカ映画「エンゼル・ハート」はご覧になりましたか?

ルイス・サイファーと名乗るロバート・デ・ニーロの怪演した悪の主人公はルシファーの変装した姿でした。ミッキー・ロークの主演でしたが、あの最後のどんでん返しに度肝を抜かれましたよ。

話がそれましたね。

400kmの長い道のりの中、遠くにモンサンミッシェルが見えた時には、バス内でどよめきがありましたよ。

近くに見えてくると期待感が高まります。

この島の地域は潮汐の差が14mもあり、ヨーロッパ最大の潮差があるのだそうです。

今でこそこのような舗装された道がありますが、昔は海の砂地の中にある岩山だったようです。

巡礼者は潮の引いたときに砂の上を歩いて渡ったようですが、この砂は流砂のように細かく、しかも14mの潮汐差のために、上げ潮の速度は人が走るよりも早かったとか。

多くの人が、それこそ命がけでこの島に来ていたのです。

島の内部の様子は次のブログで…。


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