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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

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「信長の棺」

信長の棺を読みました。数年前に良く売れた本だったのですが、本能寺の変後、信長はどこへ消えたか――。というなぞを追う物語です。光秀謀反にちらつく秀吉の陰謀。阿弥陀寺の僧侶が握る秘密の鍵。そして、「信長公記」を著した主人公である太田牛一が最後につかんだ驚愕の事実とは。

本能寺の変の後、信長の遺体は忽然とこの世から消えました。明智光秀が寺の焼け跡に残ってくまなく数日捜索しましたが、どこからも出てこなかったのです。

僕はこの本のあとがきを最後に読んだのですが、もしもこれを先に読まれたら、皆さんもこの本を読みたくなると思いますよ。

この著書の構想は約20年前に作者の加藤廣氏が京都の阿弥陀寺に何度目かの訪問をしたときに始まります。ふと阿弥陀寺本堂の裏の廊下で、なぜかひっそりと祀られている開祖清玉上人の木像を前に、いつになく落ち着いた気持ちになってひとり静かに座っていたときのこと。

突然雷に打たれたように、「拙僧と我が弟子の清如の、信長公のご遺骸を巡る物語をかいてくださらぬか」というある種の啓示に近いものを受けたと言うのです。作者はこの後、多くの文献を調べ、このような発想の物語を創り上げたのです。

斬新な発想にはこのような背景があったのかと、妙に納得してしまう話でした。


健康スポーツ医講習会

昨日今日と、日本医師会の健康スポーツ医の講習会に参加してきました。毎日朝9時半から6時ごろまで、長い講義でした。この講義に4日間出席すると、日本医師会公認の健康スポーツ医の認定が取れるのです。日本医師会会館というのが駒込の六義園の近くにあり、そこに初めて行って来ました。かなり大きな講堂があって、そこでの講義でした。

僕は中高では剣道をやりましたし、大学では水泳部とスキー部に所属しました。運動はとても好きなのですが、最近は忙しくてほとんど運動が出来ません。しいて言えば数カ月おきに誘われるゴルフぐらいで、運動不足は否定できません。

9人の先生が話したのですが、健康を維持するためのスポーツは奥深いですね。オリンピックに出場したような人が、その後健康的な人生を送るとは限りません。激しい運動をしすぎたことによる後遺症もあるのです。約40年前に東京オリンピックに出場した選手の中でも、もう亡くなってしまった方もいるわけですから。

また、今日の講義を聴いて、少年野球やサッカーのように、幼少期に行う過度のスポーツは、骨格の健全な成長を押さえてしまうこともあるのです。監督も良かれと思ってしごくのでしょうが、必ず専門のドクターの診察とアドバイスが必要なのだと思いました。

来月月末にあと二日講義があって、そこで晴れてスポーツ医の認定を受けられます。頑張らなきゃですね。


メソフラックス

イタリアの医療器専門メーカーのプロモイタリアが、メソセラピーの最新機器を持ってきました。

僕は去年のパリの美容アンチエイジング学会でメソセラピーのサーティフィケートを取ったのですが、メソは奥深いのです。

この機械はメソフラックスと言うのですが、二酸化炭素を注入し、体の気になる部分を痩せさせる「ルボキシセラピー」と、メソセラピーを行うための「メソガン」を合わせた、世界初の複合機なのです。

プロモイタリアの製作者は、昨年にはこの機械が完成すると言っていたのですが、ようやく販売するまでにこぎつけたのです。

早速使用してみましたが、結構使いやすいですよ。

メソセラピーについては11月の11日に講義を頼まれています。

昨年ナポリでメソセラピーを習ったドクターバニーニが来日します。

ほぼ一年ぶりの再会です。楽しみです。


どうやったら英語が話せるようになるのか?

どうやったら英語で話せるようになるのか? と言う質問をよく受けます。考えてみれば、僕は大学受験のときの得意科目は数学と国語でしたし、暗記が主体の英語は正直、苦手でした。大学のときに教科書は英語で書かれたものを使いましたし、気張ってTIMEとか読みましたが…。

医者になって麻酔科指導医をとるまで6年間は臨床一本やりで、英語にまったく触れない日々が続きました。ちょうど5年目のときに医学部の大学院を受験したのですが、大学院の入試が英語の問題を英語で答えなればならなかったため、もう一回受験勉強しました。

このときに一般の単語を覚えるのに使った本はDUOと言う本でした。これはいい本でしたよ。現代英語の重要単語1600+熟語1000を重複なしで560本の基本例文に凝縮しているのです。2週間ぐらいかけて覚えました。これはいい体験でしたよ。もしかしたら、受験英語としては最も英語力が上がったときだったかもしれません。医学関係の英語以外は忘れてしまっていましたから、ブラッシュアップにはよかったです。

英会話をはじめたきっかけは、自律神経の研究をしていたときにパートナーがカナダ人だったことがあります。そのときに気付いたのは、まず話す内容が先にあり、英会話はその後であるということでした。つまり、英会話は目的ではなくて、単なる手段なのだと思うようになりました。

このレーザーの世界に入ってからは、海外のドクターと話す機会も多くありますし、英語での講演もあります。クリニックを訪問してくれるドクターも多いので、自然に話すことが増えてくるのです。今でも英会話がすごく得意というわけではないのですが、学会などで、数日あちらにいると、耳も口も慣れて、スムーズに会話が出来るようになりますね。

英会話を始める上で、リスニングは映画などで慣れるしかないですが、話すためのコツは二つあると思います。ひとつはとにかく英語で自己紹介を出来るようになっておくこと。もうひとつは、何らかの本で基本フレーズと相槌を覚えるのですが、そのときに必ず声に出して読むことです。

しばらく英語圏の国にいると、首というか喉の筋肉の一部が痛くなってきます。たぶん日本語と英語では、話すときに使う筋肉が違うのだと思うのです。そういったトレーニングをしておくとよいのだとおもいます。


ビューティフル・マインド

『ビューティフル・マインド』(A Beautiful Mind)は、2001年のアメリカ映画です。ノーベル賞を受賞した実在の天才数学者、ジョン・ナッシュの半生を描いたノンフィクションなのです。出演: ラッセル・クロウ, ロン・ハワード, エド・ハリス, ブライアン・グレイザー, クリストファー・プラマー 。アカデミー賞では作品賞、監督賞、助演女優賞、脚色賞を受賞した作品です。

ジョン・ナッシュはナッシュ均衡(ナッシュきんこう)の論文が有名です。ナッシュ均衡は僕のMBAの論文でも引用したのですが、ゲーム理論における非協力ゲームの解の一種であり、最も基本的な概念です。他のプレーヤーの戦略を所与とした場合、どのプレーヤーも自分の戦略を変更することによって、より高い利得を得ることができない戦略の組み合わせのことで、どのプレーヤーも戦略を変更する誘因を持たない状態を意味するのです。つまり、簡単に言うと、あるゲーム理論の中で、どのプレーヤーも戦略を変更する必要のない均衡状態のことを言うのです。

僕はナッシュ均衡を自分の論文に引用したにも関わらず、彼が統合失調症を患っていた事実を全く知りませんでした。

統合失調症は、元々ドイツ語のSchizophrenieに対する訳語として、明治時代に“精神分裂病”と訳されましたが、その語彙の意味を取り違えられることから、2002年に日本精神神経学会総会によって「英schizophreniaに対する訳語を統合失調症にする」という変更がなされました。

統合失調症には大きく分けて三つの病態があります。妄想や幻覚が症状の中心で30歳代以降に発症することが多い 妄想型。 思春期前半に発症することが多い破瓜型。そして、興奮・昏迷などの症状を呈する緊張型です。

統合失調症は人格の崩壊とつながり、予後は悪いものと考えられていると思いますが、実際には人口の1%が罹患し、比較的頻度の多い病気です。妄想や幻覚が治療によって消えることはありませんが、この映画のように、これらが実際のものではなく、妄想や幻覚なのだと自ら気付くことによって、社会復帰が出来るようになります。

昔から天才となんとかは紙一重といわれていますが、脳のシナプスの発火が多い人ほど、常識では考え付かないことも気付きますし、発想も豊かになります。こうした人が、あるときに統合失調症になってしまうというのも、なんだか理解できる気がしますね。

また、研究者というのは孤独なものです。周りの友人は、ときにライバルとなります。大学、そして大学院時代、友人もなく、一人理論の展開のみを追い続けていたナッシュが、のちに病気とわかる統合失調症ゆえに脳の中にもう一人の友人を作ってしまったり、重要国家プロジェクトの任務を帯びていると幻覚してしまったりします。天才であること、孤独であることによってナッシュはある意味追い詰められていく。けれど、そんな彼を妻やかつてライバルだった友人が支え、助けていく。つくづく人はひとりでは生きていけないのだと、才能があればあるほど、理解者が必要なのだと考えさせられました。そして、ノーベル賞が決まり、教授達がナッシュの前にペンを置いてゆくシーンは、感動的でしたよ。


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