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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

レーザー施術で使用する麻酔薬

レーザー施術は時に痛みを伴うものです。

レーザーの効果をより引き出すためには、熱に最も弱い表皮を破壊しない限り、パワーを上げなければならないのですが、そうなると施術中に痛みが強くなる場合がある。

その痛みを最小限まで減らすために、クリニックFでは何種類かの「塗る麻酔薬」を使用しています。それぞれクリームやジェル、美容液のようなテクスチャーで、注射針で皮膚に刺し注入するような麻酔薬と違って、塗るとき全く痛みは感じません。化粧品を塗るようなかんじをイメージしていただければわかりやすいかと思います。

「こんなに色んな種類の麻酔薬を用意しているクリニックは、あまりないんじゃないですか?」

と、先日同業者から聞かれました。

確かに言われてみれば、そうかもしれません。普通のクリニックでは、貼るタイプと塗るタイプをひとつずつ、この二種類があればとりあえず事足ります。

けれど、レーザーにこだわるのと同じように、僕は麻酔薬にもこだわりがあります。元々痛みの専門家であるペインクリニックの認定医であることもありますが、患者さんのタイプ・使う機器の種類によって有効な麻酔薬は厳密に言うと異なると思っているのです。

クリニックFの患者さんには、施術の度にどの麻酔薬を使うか僕自身が選択しています。

ここからはちょっと専門的な話になります。

局所麻酔薬は、神経線維に作用して、細胞内部へのナトリウムイオンの流入を抑制して、細胞活性の初動である活動電位を抑制することによって、神経伝達を遮断するものです。

化学的にはベンゼン環と4級アミンの間を中間鎖がつないでいるという基本構造をしていますが、大きく分けると、その中間鎖の結合の違いによって、アミド型とエステル型に分けられています。

エステル型の麻酔薬はコカイン、プロカイン、テトラカインなどがあります。血中のコリンエステラーゼによって速やかに分解されますが、加水分解による分解産物であるパラアミノ安息香酸によって、アナフィラキシーショックが起こる場合があります。

一方、アミド型の麻酔薬はリドカイン、メピバカイン、ジブカイン、ブピバカインなど。アミド型の代謝は肝臓でゆっくりと行われるため、持続時間の長いものが多いのです。

ほとんどのクリニックで局所麻酔薬を使用する場合、アミド型の局所麻酔薬であるリドカインをベースにした麻酔薬を使用する場合が多いのですが、クリニックFではアミド型とエステル型の局所麻酔薬を配合して使用しています。

すぐに効果があり、持続時間も長い双方の優れた麻酔効果を生かすためです。

また、麻酔の効果時間には、組織のpHが極めて大切です。組織のpHに近いと、解離恒数の影響で麻酔薬が非イオン化した状態で多く存在するので、早く効果が発現します。pH7.4ぐらいの、ちょっとアルカリ性に傾けた方が効果的なのです。

歯を抜くときなどに、炎症状態が続いている皮膚は、麻酔が効きにくいと聞いたことがありませんか? 炎症状態が続くと、組織が酸性に傾くので、麻酔薬作用部位に麻酔薬が届きにくくなるのです。

逆に、妊娠中はプロゲステロン分泌が増加しているため、麻酔薬の必要量が少なく、効果発現も速くなるといわれています。

クリニックFで工夫しているもう一つの点は、麻酔薬を混ぜる基質です。

「ペンレス」という名前の、セロファンテープに麻酔薬が配合されているタイプのほかに、クリニックFでは、「ローションベース」、「ジェルベース」、「クリームベース」の麻酔薬基質を用意して、使い分けています。

基質の水分の配合率によって、それぞれ局所麻酔薬が肌に吸収される速度が変わって来るのです。

語り始めると、止まらなくなってしまう麻酔の話。奥が深いのです。また機会があったら、よりマニアックな話を書いてみることにしたいと思いますが、もし

「痛そうで怖い」

「だからレーザークリニックには行きたくない」

そう思われている方がいるとしたら、そんな方こそクリニックFにお越し頂きたいと思います。

日本に数あるレーザークリニックの中で、最も痛みの少ない施術を行っていることに関して、僕は自信がありますから(笑)。


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