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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

開業予定のドクター来院 病気であること 健康であること

クリニックFに、土曜日終業間際に来客がありました。

長いこと大学病院にいらして、レーザー皮膚科クリニックを来春ご開業予定の先生が、クリニックの見学にいらしたのです。

開業予定の先生方の見学をクリニックFでは受け入れていますので、ひと月に数名ですが、こうした来客があるんですよね。

レーザー光治療は、アメリカでこの10年間に開発された治療技術ですが、デバイスラグの問題で日本で認可されている機器も数に限りがあります。

大学病院で診療をされている先生は、知識としてレーザー/光治療のことは知っていても、実際に機器を使う経験ができない場合もあるのです。

レーザー光治療器は、治療器具や道具の一つですので、実際に診療に使用した経験がないと良し悪しも判断できませんよね。

しかも、大学病院に最新のレーザー機器が揃っていないと、ドクターのトレーニングもできない。

日本でレーザー治療が難しいとされる一つの理由はここにあります。

見学後の会食時に話題になったのが、「病気であること」と「健康であること」の概念について。

僕が大学病院にいた約10年の時期は、病気の人しか診ませんでした。

病気を治す、それこそが医師の仕事であり、医学部で病気について習い、病気の専門家としての知識や経験は得たと思うのですが、どのような状態が健康なのかということを深く考えてこなかったのです。

ひとえに「病気」の人ばかりを診察し、「病気と健康」というように二元的に対比してしまうと、「健康ではない=病気」という考えになるのもある意味当然かもしれませんね。

けれど、多分思い当たる方は多いかと思いますが

「病院で治療してもらうほどに病気でもないけれど、自分が健康かといえばそれについては自信がない」

という人が本当に多いのも現代です。

それを何かの「病気」にカテゴライズして、薬を出すことも可能でしょう。しかしながら、この「薬」ではなかなか改善することもないのが、難しいところです。

今僕は、クリニックFで、健康な人を診察しています。

「健康な人を診察している」という意味は、保険診療の対象となる病気を診ていない、ということです。

僕の領域で言えば、皮膚に現れる病気=皮膚疾患を診察し治療を行っていないのです。

そうした診療スタイルをとって久しく、欧米ならともかくこの日本でこの診療スタイルが受け入れられるのかな? と思った時期もありましたが、なんとか今日までやってきました。

そんな中で思うことのひとつに、健康な状態とひとまとめにされるものが、実際には乖離があり、その度合いというものは大きく違うのだ、ということがあります。

一般的にもわかりやすい言葉を使ったイメージでいうと、

「完璧な体調」

「すごく健康」

「おおむね健康」

「普通の健康」

「疲れが取れにくい健康」

「ちょっと体調が悪い健康」

「病気の予備軍となる健康」

「病気になりかけの健康」

「病気」

と、様々なグレードの健康な状態があり、その中の一部が「病気」

ということなのです。

アンチエイジング医療・美容レーザー皮膚科という科は、それこそ健康な人しか診ません。

しかしながら、健康を専門とする医師に定期的に健康な状態を診てもらうことで、得られるメリットも大きい。

上記の「健康」の文字を、「肌」と書き換えれば

「シミ、あざを取る」という、旧来のレーザー治療以外にも、より健康で、若々しい肌を作るのに、様々なレーザー光治療機器を使うことがイメージできると思います。

この10年間にアメリカで開発され、世界中に広まったレーザー光治療の一番大きなメリットは、肌に対してレーザーをメンテナンス照射することで、健康な肌をより健康に、美しくすることができるということに尽きるのです。

これからは日本で最も人口の多い団塊の世代の人たちが高齢化します。

いかに「健康であるか」という議論を、「健康」の専門家として提供できるように知識を蓄えてゆきたいですね。


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