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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

右顔と左顔 どちらが痛みを感じやすいか?

新国際学会周遊記では、GW中に滞在したボルチモアの話が続いていますが、僕は東京にいます。

昨日の日曜日は、品川の御殿山ガーデン ホテルラフォーレ東京に行ってきました。イタリアはフィレンツェにあるレーザー会社DEKA社のスキンセラピーワークショップに出席してきましたよ。

ミーティングでの発表内容は非常に勉強になりましたので、また他のブログで触れようと思っているのですが、講演者の一人 実川久美子先生が、

「ほとんどの患者さんは左顔の方が痛みを強く感じやすいので、麻酔をかけた後には、麻酔が強く効いているうちに、左顔から施術をするようにしている。」

というようなことをおっしゃておられたのが印象に残りました。

患者さんの痛みに対する反応を見て、ご対応を変えていらっしゃるとは、素晴らしいなと思ったのです。

「医者ならあたりまえじゃないか」

と思われる方もいるかもしれません。

けれど、実際の現場ではこれが出来る医師と出来ない医師とがいるのです。

よく言われる医師の傲慢さや怠慢さから起きるのでは決してなく、どちらかというと人と接するときの感覚的な問題、感性の問題のように思います。

治療を行うときに、患者さんの反応を見ながらその場で臨機応変に対応する・・・医師として最も必要な感性のひとつですよね。簡単なことではありませんが・・・。

さて、実川先生がおっしゃっていた痛みを感じる左右差について、今日はすこしお話したいと思います。

実は以前、僕もレーザー照射時に全く同じ感想を持って、どうしてそういったことが起こるのか色々と考えたことがあります。

ペインクリニック専門医として言える答の1つに、体のいたるところから来る感覚神経の求心路は、8割以上が首の位置で左右が入れ替わり交差するということがその根拠の1つとして考えられます。

日本人の中で先天的な左利きは、10%前後と言われています。

つまり、ほとんどの患者さんがほぼ右利きということになります。

右利きの人は当然ながら左手よりも右手をよく使うことになりますので、首から下について言えば右側の運動神経と感覚神経が左側よりも発達しているといえます。

ちなみに、自分の「利き手」「利き足」はどちらか意識することはありますか? 

手の場合は箸を持ったり字を書いたりするのですぐわかりますが、運動選手でもない限りどちらが「利き足」かというのは普段意識しないかもしれませんね。

右手が利き手の人は右足が利き足の場合が多いようです。ただし、後天的に利き足が左足となり、利き手は右だけど利き足は左、という人、もしくはその逆という人は珍しくありません。

これが、さらに顔ということになると、「利き顔」が左右どちらかということを何で判断するのか難しいところ。女性は俗に左側の顔のほうが右よりも美しいとされることも多いですから、「自分の利き顔は左」と思われている方もいるかもしれません。

医学的に言えば、さきほども書きましたように首の位置で多くの神経が交差しますので、右手右足が「効き手」「利き足」の場合、その感覚を司っているのは“左”脳ということになります。

つまり右利きの人の利き顔?は、左顔ということになるのです。

顔は通常は左右対称に動くように出来ていますので、分かりにくいかもしれませんが厳密に計測することが出来れば、左脳優位な右利きの人は、左の顔の方が複雑な表情が出せるのかもしれません。

同じように感覚神経も敏感になりますので、一般的には、「右利きの人は、左顔が痛みを感じやすい。」のです。

反対に、「左利きの人は、右顔が痛みを感じやすい」ということもあると思います。

クリニックFの患者さんの中には、僕に施術中に「もしかしたら左利きですか?」って言われた経験のある人がいらっしゃると思いますが、そういう理由があるのです。

ちなみに、クリニックFでレーザー照射時に使用する塗る麻酔薬は定期的に自家調合しています。

そして、施術の長さや痛みの強さによって麻酔の薬の配合を都度変えています。

局所麻酔薬の場合、炎症などが続いて組織が酸性に傾いていたりすると麻酔が効きにくいため、麻酔薬の量が多めに必要なことはありますが、いったん効果発現まで組織内麻酔薬濃度が上がると麻酔効果は一定となり、持続時間だけが変化します。

僕は上記の「左顔の方が痛みを強く感じやすい」人が多いという理由から、麻酔の効果時間を考えて、逆にほとんどの方を右から施術をするようにしています。

痛みを感じやすい左側の施術が終了するまで効果の続く麻酔を使用することで、施術時間の1つのメルクマールにしているのです。


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