TOP
藤本院長のブログ(新国際学会周遊記)

医療用語解説①「侵襲」とは

2016年12月27日(火) カテゴリー:医療

病院で医師による説明を診察室で受けた後、家に帰って家族に報告する際、

『・・・先生に言われたことは結局どういうことだったんだろう? ぼんやりとは理解できたけど細かい話がよく思い出せないなぁ・・・』

というご経験はないでしょうか。

それらは往々にして、専門用語を多用し複雑な画像を見せて説明した気でいる医療サイド(主に医師)に原因があります。

たとえ知識人であっても、慣れない単語を頻用された説明では熟知に至りませんし、記憶の定着もありません。

我々医師も、患者さんにわかりやすい説明を心がけなければと思いつつ、つい慣れ親しんでいる専門用語を意識せず多用している場合があるのでしょう。

己の反省も踏まえて、患者さんにより寄り添う診療を常に心がけないといけないですよね。

今回はいつものブログと少々趣を変えて、美容クリニックにおける皮膚の悩みを対象とした診察室でよく見かける簡単なケースを提示した後、会話で用いられた医療用語を抽出・解説してみようと思います。

 

 

テーマ① “侵襲”が大きい?小さい?

 

患者「生まれつき右手にある5㎜ぐらいのホクロをとりたいのですが、どのような方法がありますか? 皮膚癌も少し心配です…。」

 

医師侵襲が少し大きくなりますが、病理検査を行うのであれば、手術による切除がよいでしょう。ただし、今回の場合は癌の可能性が極めて低いので、侵襲の小さなレーザー治療でもよいと思いますよ。」

 

患者「えーと・・・それならば・・・手術は怖いのでレーザー治療でお願いします(侵襲?  病理検査??ってなんだろう・・・?)。」

 

解説:

 “侵襲”とは一言で言えば、“身体を傷つけること”です。

ある医療用語集では“体の内部環境の恒常性を乱す可能性がある刺激全般”と記載されていますが、非常に難解です。

実際の現場では、ヒトの身体の一部を切除する行為や点滴・注射により薬剤を投与することを表します。

皮膚の領域において、侵襲が大きいか小さいかの目安の一つとして、皮膚にメスを入れるかどうかが挙げられます。

患者様にとって、注射で麻酔をしてメスで身体を切り、腫瘍を切除する行為は、ストレスの大きな行為であり、“侵襲が大きい”と言えます。

一方で、わずか数秒の手技で治療を終えるレーザーは患者様へのストレスや痛みが少なく、“侵襲が小さい”と言えるでしょう。

加えて、レーザー治療の場合は術後の傷が目立ちませんので、10㎜以下の小さなデキモノが顔などの目に見える部分に出来ている場合は、おススメします。

薬を飲んだり塗ったりするだけで治るのであれば、さらに“侵襲が小さい”と言えます。

しかし、「癌が心配」な時は、実際にデキモノを切除して、顕微鏡の検査に出さなければなりません。それが“病理検査”です。

どんなに熟練した医師でも、肉眼での診断には限界があります。

そのため、診断を確定するためには、何十倍(時には何百倍)も拡大して、組織を調査する必要があります。

 

上記のケースの場合は

 

医師「癌が心配であれば、顕微鏡の詳しい検査が必要です。その際には、歯医者で行うような麻酔の注射を皮膚に行った後に、デキモノとその周りの皮膚をできるだけきれいに切除します。レーザー治療の方が痛みは少なく、1回の治療時間は短くて済みます。ただし、癌かどうかの最終的な診断はできません。」

 

と説明すると、聞き手もより理解しやすいかもしれませんよね。

 

次回は“瘢痕”について説明致します。

「ケロイド」と「術後の瘢痕」は全く別ものなのですよ。

 

 


新国際学会周遊記

カテゴリー
  • News - クリニックからのお知らせ -
  • Guest Room - ゲストルーム -