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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

医者とのコミュニケーション

「ムンテラとは、医療従事者が頻回に使う言葉です。」
という言葉の意味、分かりますか?

医者が患者さんに病状を伝えるのを“ムンテラ“といいます。Mund(口)とTherapie(治療)を合成して「言葉で説明することで治す」という意味を作り上げたらしいですが、本国ドイツでは使われない言葉だそうです。

ムンテラは研修医や医学生がまず覚える言葉なので、ほんとうに日常茶飯事に使われる言葉なんですが、医療関係者は頻度が多く行われることを表現して「頻回」という言葉を良く使うのです。最近、気付いたのですが、この言葉はことばだけで話しても、一般の人には全く通じないですね。ワープロで「ひんかい」と入力しても「頻回」とは変換されませんでした。

患者さんが亡くなることは sterben(死ぬ)というドイツ語の動詞に始まりましたが、シュテルベンするというカナ書き外来語になった後に、ステるという医療関係者専用の動詞ができて、「ステる:ステらない,ステる時,ステったら,ステっても……」などと「活用」して使っていますね。同じような使用法として tachycardia(頻脈)で心臓の鼓動が早くなったときに、タキるなんて言葉も良く使いました。

読み方が違う言葉は結構あります。最近流行の腹腔鏡手術という手術ですが、皆さん腹腔の読み方を知っていますか?通常の日本語なら腹腔は(ふくこう)と読みますが、医療関係者は(ふくくう)と読みます。僕は最初の日本語の論文を書いたときにあまりにめんどうくさくなって、この単語の読み方をマイクロソフトのワードの辞書に加えたので、良く覚えています。骨も、(ほね)じゃなくて(こつ)と読む人が多いですね。

最近医療事故が多いため、医師の質が落ちたといわれ、医師免許も更新制にしたら良いのではという意見がありますが、ほとんどの事故は、医療知識の欠如からではなく、医療従事者間もしくは患者との、コミュニケーション不足から来る凡ミスが連続することが原因なのです。

言葉は大切ですね。


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