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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

四季とレーザー

クリニックのHPを日々更新しています。更新作業を行う上で、過去のブログ記事や写真を見直す必要が出てくること多々あるのですが、ブログ記事を読み返してみるとクリニックF開院当初から自分の治療方針自体、そして考え方の方向性に関してはあまりブレがないことに改めて感じるものがあります。

患者さんに伝えていきたい事に関しても、それほど変わっていないようです。

2008年2月のブログに「四季とレーザー」というタイトルのものがありました。今も同じように考えているので、こちらに改めてご紹介しますね。

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2007-2

レーザー/光治療器を扱う医者は、ひとりひとりの患者さんが、四季の中でどの季節に自分のクリニックに初めて来たのか、そしてそれに対し今の季節はどう違うのか、常に念頭に置き対応できるよう準備しなければならないと思っています。

レーザーの先進国はアメリカである、とは皆共通の認識ですが、レーザーの打ち方に関しては、アメリカの打ち方をただ真似ても日本でそのまま応用は効かないのです。これは皮膚の色が違う、表皮と真皮の厚さが違う、ということだけが理由ではありません。

なぜなら、日本には四季があるから。

日本では、春先に来た患者さんの肌は、梅雨→盛夏→初秋→初冬→厳冬・・・と季節を通して劇的に変化します。気温と湿度が一年を通して大きく変化することが一番の理由でしょう。

医者はこの季節の変化に応じて、レーザー/光治療器のパワー設定を変えたり、使う機種を変えたりしなければならないのです。

たとえば春に来た患者さんにオーロラSRを照射するとします。

梅雨から夏にかけて、この患者さんへの適応照射パワーは少しずつ上がっていきます。気温と湿度が上昇カーブを描くからです。

秋頃には、SRをSRAに変えられるくらいに肌は調子を上げていきます。

しかし年を越し、厳冬の1月2月を迎える頃には、一度パワーを弱くするか機種を弱いものに一度戻す・・・といった選択が必要になるのです。

そしてここで様子を見て、改めて適正機器の選択をもう一度再検討する方が良い。

また、追記すると毎年3~4月、9~10月という時期には同じ機種で照射をするにもパワーの設定や打ち方などを工夫して保守的に攻める必要が出てきます。

季節の変わり目で皮膚がとりわけ弱っている場合が多いからです。

これはアメリカの医師やレーザー会社からは学ぶことができない、日本独自の環境と市場を念頭に置いたテクニックです。皮膚とその皮膚を取り巻く環境がアメリカと日本では全く違うのです。

結果をなかなか出せなかったり、患者さんの満足度が低かったり、また火傷や事故を起こすクリニックというのは、もちろん機器の選択や技術自体が未成熟な場合もありますが、こうした

「日本でレーザーを扱うときには四季を意識せねばならない」

という、日本独自の視点を持っていない医師が担当している事も、その原因のひとつにあるかもしれません。

地域によってもパワー設定・レーザーの選択は異なってくることでしょう。

気温と湿度を考えただけでも、北海道と九州で同じでいいわけはないですもんね。

これまでは講演に呼んでいただく場合、医療経営について話をすることが多かったのですが、今後はこうした話もドクター向けにしていく機会があったら、と思っています。


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