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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

「ニキビ跡の治療法は、もはや完成した」

アメリカ・サンディエゴで開催されたレーザー皮膚科専門医の年に一度の“同窓会”コントロバーシーズ&コンバセーションズ。学会開催期間中、演題の1つの柱となったのは、2007年の技術ではありますが、アブレイティブ・フラクショナルレーザー治療法でした。

アブレイティブな波長としてまず挙げられるのは、CO2の10600nmの波長です。ただ、同じCO2の波長でつくられたフラクショナルレーザー機器でも

「この機器とあの機器が同じ波長の機械とは・・・!!」

・・・と時に驚いてしまうほど、世界各国数十社からリリースされている同一波長の機器は、その性能が機器によって全然違うのです。

まあ、カメラや車、パソコンなどを考えても性能にピンキリありますので、技術の差があるのは良く理解できますが、それでも通常の炭酸ガスレーザーに、光軸を移動させるスキャナ機能をつけただけで

「我が社でもフラクショナルレーザーを開発した」

・・・と主張する会社もあったりするので、“フラクショナルレーザー”と一言でいっても色々ある、というのは覚えておいて欲しいですね。

米国レーザー学会専門医として僕がコメントするならば、特にアブレイティブなCO2レーザー機器で性能に違いが出るのは、

○レーザー機器のパワーユニット(ワットで換算されるもの)の出力

○レーザーのビームの集光度

に集約されると思います。

この二点にこだわり完成度を高めるには高度な技術が必要となります。

数あるフラクショナルレーザーの中でこの二点において優れた機種を具体的に挙げると、日本でまだ手に入りませんが、ソルタメディカル社の「フラクセル:リペア」がこの分野の機種の中で頭ひとつリードしていて、その後にクリニックFでも採用しているルートロニック社の「eCO2」や、ルミナス社の「アンコア」が続くといった感じでしょうか。

ただし、「フラクセル:リペア」を購入するためには「eCO2」と「アンコア」を合わせたぐらいの金額が必要というのが、玉にキズですね。高い技術をどの企業や研究所よりも先に開発するのにコストがかかるのは良く理解できますが、今回のフラクセル:リペアの治療効果にその価格差ほどの差異が果たしてあるのか・・・? これを考えると悩ましい、というのが僕の本音です。

さて、学会に話を戻しますと

今回学会期間中に話題になったのが、CO2フラクショナルレーザー機器をメインで使用することで

「ニキビ跡の治療法は、もはや完成した」

と発言する医師が増えてきたこと。

上記の3機種や、よりダウンタイムが短く、より進化したフラクショナル機器の「フラクセル3DUAL」や「e-matrix(e2)」がこの発言の根拠となる機器として挙げられます。

日本国内にもほとんどの機種はリリースされていますので、きちんとしたニキビ痕の分類に分けた診断が出来る医師で、レーザーのパラメータ設定も出来るドクターであれば、ニキビ痕の治療は国内でも可能になった、といえますね。

次のフラクショナルレーザー機器による治療目標は、ニキビ痕よりも深い疾患である肉割れや妊娠線の治療となるでしょう。

近日中にそうした機器が開発されると良いのですが、今回のコントロバーシーズではまだ発表はありませんでした。

ちなみに、僕は毎年3月の米国皮膚科学会AADから8月のコントロバーシーズにかけて、学会を渡り歩き(笑)9月にその年に購入するレーザーを決定するのですが、現段階では、今年発表された中にクリニックFで購入すべきレーザーは無かった、というのが結論です。

数年前にデビューしたレーザーの中からクリニックFに購入するべきものをピックアップすると

個人輸入で国内に導入されていない「フラクセル:リペア」を購入するか、超音波リフティング機器の「ウルセラ」にいくか。

クリニックFは開院当初から、話題になったフラクショナル・レーザー機器をほぼ全て購入し、肌の入れ換えとニキビ跡、毛穴治療についての差別化と専門性を高めてきたクリニックです。

その方向性がぶれないためにも、ここは高額ではありますが、治療の幅を大きく広げるために、「フラクセル:リペア」の購入に踏み切ろうかなと、今は考えています。

「もう新しい機械を置く場所がありません!」

と、スタッフから猛反対に合いそうですが・・・(苦笑)。


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