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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

「デバイス・ラグ」~使える医療器具は欧米の半分~

英語の「デバイス(Device)」という言葉を仕事上僕はよく使います。そのため、同じ単語が使われているとつい目に留まってしまうのですが、先週その名も「デバイス・ラグ」という言葉があると聞いて、

なるほど

と思わず膝を打ちました。

この言葉、ご存知ですか?

僕がこの言葉を見つけたのは、iphoneで読んだ産経新聞。iphoneで産経新聞の紙面をそのまま拡大して読めるのです。しかもいったんソフトをダウンロードしてしまえば、無料のサービス。

ちょっとした空き時間や、通勤中の電車の車内でも他の人の迷惑にならず、とても勝手がよいんですよね。

その産経新聞、4月3日の紙面に載っていたのが、医療機関にいる者なら聞きなれた言葉の「ドラッグ・ラグ」ならぬ「デバイス・ラグ」について。

以下産経新聞の抜粋です。

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海外で使われている医薬品が日本で使えない・・・この「ドラッグ・ラグ」解消に向けた動きが進む中、日本の医療現場は「デバイス(医療機器)・ラグ」というもう一つのラグ(時間差)を抱えている。

海外で使われている医療機器も、国内で承認されるまでに時間がかかるからだ。

欧米で使われている医療機器の半分が日本では導入されていない。このため欧米では当たり前の治療が、日本人には施されない実態がある。

厚生労働省によると、日本は米国に比べ、医療機器が承認されるまでの期間が平均1年7カ月(平成17年度)も遅い。

中略

日本の審査基準は欧州に比べて厳しい。海外で安全性が確認されても、人体へのリスクが大きい機器では治験が求められ、メーカー側にとって負担となっている。

「市場規模が小さいこともラグの要因」とする指摘もある。世界の医療機器市場(17年度)で米国は42%、欧州も34%を占めるが、日本はわずか10%に過ぎない。

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この記事を読んで、日本のレーザー医業界の惨事もまさにこれが原因だと痛感しました。

特にこの10年間にアメリカを中心として飛躍的に発達した肌を治療するレーザー機器は、ほぼすべてが厚生労働省の認可を得られていないので、クリニックを経営する医師が「個人輸入する」という形態でしか国内で治療ができません。

メーカーや輸入代理店からすると、2年近い歳月とお金をかけて、厚労省の認可をとっても、新しい機器が出た時点でまた再投資が必要になります。

一方で、クリニック経営者の視点からみると、レーザー機器は個人的に輸入されたあくまで個人の所有物なので、リースも通りませんし、事業拡大のために銀行で融資を受けたくても、銀行が必ずその際に求めてくる「担保」として認めてもらうことも叶いません。

頻繁に新しい機器がリリースされるので、患者さんに最新の医療技術をリアルタイムに提供しようと思うと、減価償却が終わる前に機器としての使用をあきらめなければならない時もあり、より質の高い医療を患者さんに提供しようとした際には、こうした度重なる治療機器への投資が、レーザークリニックの経営を圧迫するのです。

レーザークリニックは、レーザー=デバイスへの愛がないと続けられないのですよ・・・。

僕の愛してやまないレーザーたち(ごく一部です 笑)


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