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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

新しく開発されたレーザー

NYに旅立つ前、日本アンチエイジング歯科学会で講演したネルソン・マクガイヤー博士と連絡を取り合い、コネチカットにいる彼の社員の一人が、NYCのホテルまで新しく開発しているレーザーを持ってきてくれることになりました。

最近NYで出張の定宿にしているグランドハイアットは、NYCの中で最も大きな鉄道の駅の一つであるグランドセントラル駅の真上にあり、地方から上京するアメリカ人と会合を持つのに、とても便利な場所であるところが気に入っています。

空港からのアクセスを考えても楽なのです。

クリスマス仕様のラウンジで、彼の到着を待ちます。すると大きな荷物を担いだ大男がやってきました。

彼の名はAnton Cherry。エール大学の工学の博士号を持っています。

前記の痛みの治療のレーザーの使い方を全米の医師に教える立場にあるのだそうです。

今回は次に開発している新しいレーザー機器の試作機を持ってきてくれました。

さっそく部屋で、機械の電源を入れ、彼の説明を聞きます。

レーザーの効果には大きく分けて、熱融解効果と、機械的効果があります。

通常シミをとったりするレーザーは、その熱融解効果を利用するのですが、パルス幅と呼ばれるレーザー照射時間が長すぎると、熱刺激によって皮膚がダメージを受けてしまいます。

企業秘密があってこのブログには書けないのですが、このレーザーは熱融解効果と、機械的な効果の二つの性質を併せ持ったものです。

この試作機。ファイバーの先端からレーザー光が出るのですが、3㎝も離せば、肌に当てても全く痛みを感じません。なんとなくじわじわした熱感があるだけ。でも、皮下の細胞を刺激しているのがわかります。

さらに面白いことに、ファイバー光から数ミリの焦点を合わせると、用意した紙に、あっという間に穴が開き始めるのです。今までのCO2のような蒸散系のレーザーと、違う反応です。

切開と、生物学的活性賦活の二つの効果がフォーカスを数センチずらすだけで行えるということなのでしょう。

皮下の生理活性を上げることによって、育毛効果、キズを治すのを早める効果、痛みを抑える効果、特に治療に難航する神経因性の疼痛疾患にはより効果が高いでしょう。ちょっと思いつくだけで、さまざまな医学的用途が思いつきます。

Antonとも2時間ぐらい、レーザーの理論や適応についての談義をしてしまいました。次にアメリカに行くのは3月のアメリカ皮膚科学会(AAD)だと思うので、その時に再度打ち合わせができたらと言って、別れました。

世界では、本当に多くの新しい技術が生まれています。このうち、ほんの数パーセントが実際に商業利用されるのだと思いますが、こうした技術が生まれる地盤があるのは、素晴らしいことですね。


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