岩のドームから、再びキリスト教区を聖墳墓教会にむかって歩いてゆきます。
この教会はキリスト教徒にとって記憶すべきいくつかの場所を祭っているのです。
聖墳墓教会(Holy Sepulchre)は、その名の通り、キリストが十字架に架けられたゴルゴタの丘に建っています。
そして、この教会の内部には、キリストの遺体が埋葬されたお墓があるのです。
トンネルをくぐり、僕の目の前に突然現れたのがこの聖墳墓教会でした。
教会に入り、右手の階段を登ると、その場所は、かの有名な「ゴルゴタの丘」でした。
ゴルゴタの丘という名前から、僕は野原ある丘のようなものを想像していたのですが、今は教会の内部にあるのですね。
すぐ左のイエスの十字架が建てられたとされるこの場所には、祭壇がありました。
祭壇の下には小さな穴があるそうで、この穴に十字架が建てられたのだそうです。
多くの人たちが祭壇の下にもぐっています。
おそらくキスをしているのでしょうが、長い行列で僕は穴を見ることが出来ませんでした。
階下にはゴルゴダの丘の割れた岩が見える場所がありました。
階段を降りると、十字架から降ろされたイエスの遺体が、アリマタヤ出身のユダヤ人ヨセフによって降ろされた場所とされる石が祭られています。
このヨセフは、イエスの処刑を行ったローマ帝国のユダヤ属州提督のピラトゥスに願い出て、イエスの遺体を引き取ったと新約聖書の4つのすべての福音書に記載があります。
12人の愛弟子すらも全員が逃げ出した状況下で、イエスの遺体を引きとり、香料とともに亜麻布でくるんでイエスの埋葬を引き受けた行為は、当時さぞかし勇気があったのでしょう。アリマタヤのヨセフは、聖人として今も祭られています。
さらに左手に進むと、イエスの埋葬された「復活の御堂」があります。
この中にイエスの墓があるのですが、こちらも小さな部屋に入るために長い行列があり、残念ながら中に入る時間はありませんでした。
僕の母はクリスチャンなのですが、まだ僕が小学校に上がる前に、このイエスの最後の日の聖書の記載について、話してくれた記憶があります。
僕は仏教徒でクリスチャンではありませんが、この教会は、どうしても訪れてみたかった場所だったのです。クリスチャンであれば、きっと涙を流したことでしょう。
この日もひっきりなしに人が訪れていました。