ところで、今年のコントロバーシーは毎年必ず顔を合わせるドクターがほんの数名しかおらず、その少なさに驚いてしまいました。
米国ではなく、カナダしかもウィスラーで学会があったこともあるのでしょうか?
確かにボストンやNYなどの米国東海岸からウィスラーまでは直行便がないため、飛行機の待ち時間や、バンクーバーからの移動を考えると、ほぼ10時間ぐらい移動時間にかかるようですから、クリニックを空けて来る事を考えると、往復で前後2日は見なければなりません。
不労所得ならぬ“常労所得”で生活している開業医にとって、これは痛いですよね。
「行きたいけど今年は行けないんだよね」
と、何人か知合いからもメールをもらいました。
また、特に昨年から今年にかけては、米国でも、サブプライムローンの影響は深刻なのだそうです。後は、サーチャージもほんとに高いですしね。
技術進化が早く、高額でハイテクなレーザー機器を毎年のように扱わなければならないレーザー企業の売り上げにも相当影響が出ているようです。
米国の場合、2000年から2005年にかけて、レーザー専門医以外のGP(総合医)などの医師達が「メディカルスパ」を開くことによってこの分野に多く参入してきました。
しかしながら、専門医でないと扱いきれないのがレーザーという機械です。使いこなすには想像以上に技術も経験も必要なのです。新しく参入してきたドクターによるクリニックでは火傷などのトラブルも多く、患者が訴訟を起こし医師を訴える案件も多く出てきました。
これは、規模は違えど日本と同じ現象がアメリカで起きていたと言っていいでしょう。
結局、
最新の治療を行うためには、ほぼ一年おきに高額なレーザー機器を購入しつづけなければならない。
高い専門性を持った最新の医学と工学の知識を、国内外で常に勉強しながら仕入れなければならない。
これらを考えると、レーザークリニック・・・しかも一流のレーザークリニックを作る場合、収支のバランス、投資に対するリターンという視点で言えば決してこれは「儲かる」ビジネスではなく、その割にリスクは決して低くないし手間もかかる。
好きでないと続けることは不可能なのです。
「ビジネスとして旨みがある」と安易に考えて参入してしまうと、結局苦労し挫折していくことになってしまうんですよね。
レーザー医療分野特有の事情から、ここ数年でまたレーザー専門家回帰の流れができつつあります。
売れ筋のレーザー機器も玄人好みの機器が売れるという状況に変化しているようです。
玉石混交だったこの数年間から、それらが淘汰され本物だけが生き残っていく時代へと、ちょうどこのレーザー医療業界が変化していっているのだな、と海外を回りながら今年は特にそれをひしひしと身をもって感じますね。