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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

■21st EADV Congress in Prague ‘Skin is Vital’⑯ 欧州レーザーメーカー パンテック社にて

おはようございます。

今日10月16日はクリニックFの診療日です。

さて、僕のブログは先月訪れたリヒテンシュタインのレーザーメーカーであるパンテック社の話です。

車が会社に近づきました。

Pantec という社名の表示が見えますね。

社屋はこのように立派です。

入り口には、僕の名前が書いてあります。

Welcome Dr. Fujimoto ということなのでしょう。

社長のクリストフが前で迎えてくれました。

デザイン性の豊かな綺麗な会社ですね。

そして、目の前のテラスには、リヒテンシュタインの借景が見えます。

ちょうど昼休みだったのでしょうか?

社員が楽しそうに雑談しています。発想豊かになりそうですよね。

こうした環境が、新しい機器を作るのに大切なのだと思います。

まずは、パンテック社の主力商品のPleaseの機器特性について、技術スタッフから話を聞きました。

内容は最後にはずいぶんと工学的な話になりましたので、工学部に通っていて良かったです。

こちら簡単な回路図。

3台のオシロスコープを切り替えて、レーザーの安定度を測定しているところです。

過去の研究発表データなども見せていただきました。

こちら、専門家ならばわかると思いますが、エルビウムヤグレーザーのスキャニングシステムです。

高度な技術が必要なスキャニングシステムを、ここまでコンパクトにしたのは技術力の高さを垣間見ることが出来ます。

3つの同じ機能を持った機器を正三角形に配置することで、スピードを上げようとしているのですよね。

重たいハンドピースの中も、エアエバキュエーター含め、これだけの機器が入り込んでいます。

出荷を待つ製品の最終チェックの部屋。

ひとしきりレーザー工場を見学させていただいたのちに、このような綺麗な借景をみることが出来る社長室でクリストフと今後このレーザー機器をどのように開発したらよいか、1時間ばかりディスカッションしました。

エルビウムヤグという波長を使ってこの機器は開発されてきましたが、止血能力の低いこの波長をアジア人の美肌治療にそのまま適応するとなると、ちょっと難しいかもしれません。

止血が出来ないと、反応性色素沈着症を引き起こす可能性が高いのです。

そして、もう一点の弱点は、スキャナの照射スピードが遅いこと。

工学的には素晴らしくコンパクトに、しかもスタイリッシュに美しく完成しているのですが、照射速度が遅いと、患者さんはその分痛みを感じてしまいます。

ケロイドや傷のように、部分照射であればこの機種でも十分に効果が発揮できると思うのですが、顔全体に均一にレーザー照射が必要な場合は、少々困難かもしれません。

また、全く初期からこの機器を開発しているので、コストもかかっています。

最初に臨床家の意見を聞いてから開発をスタートすれば、より良い機器になった可能性があるのに、工学的な機能の追及が優先されてしまっているようで、その点は残念に思いました。

しかしながら、技術力がある会社だけに、今後もっと良い製品が作られる可能性があります。

結局対応策として、

1. 現状の機器をダウングレードして、少なくとも現状の半額のプライスにし、メディカルスパなどのクリニックではない施設に売る。

2. エルビウムヤグ以外の波長のレーザー機器を開発する。

3.  現状の機器で、3Wの出力が出ているが、大きさが同じままで、7W前後まで出力を上げることが出来ると、より応用範囲が広がる。

4. 現状の機器のまま、例えば目元周りの収縮の施術が出来る様な、他社と差別化が出来るパラメーターと使用法を探す。

5. ビジネスプランとして現状の機器を、クリニカルマネジメントのツールと、トレーニングされたナースをつけて、機器をレンタルし、ドクターとプロフィットシェアする。

などの提案をしてきました。

昼食までの間に少し時間があったので、実際に照射した臨床例を挙げてディスカッションとなりました。

ちょうど3日前に照射をしたパンテック社の技術スタッフだよ、として紹介されたのですが、ビックリ。

彼は昔DEKA社やCynosure社にいた顔見知りでした。

レーザーの世界は狭いですよね。

3時間ぐらいこの会社で過ごしたでしょうか?

お昼を食べにリヒテンシュタインの中心街にゆくことになりました。


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