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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

■北京 EADC東アジア皮膚科学会2012⑬ 中国元の将来 毛沢東思想の復活

おはようございます。

今日7月10日もクリニックFの診療日です。

東京は今日も真夏日が続きますね。

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先月の中国北京(東アジア皮膚科学会)出張に続き、今月末にもIMCAS CHINAというフランス系アンチエイジング学会が上海で開催され、僕もレーザー医療の招待講演をすることになっています。

思えば、この5年間で、中国でのレーザーに関する講演依頼が非常に増えました。

中国において、確実に富裕層が育ち、その生活が崩れることなく成り立っているということでしょう。

一つ、北京で気付いたことをご紹介しますね。

現在中国で公表されている一般市民の収入は、日本人の10分の一程度です。

ところが、街を歩くと若者の誰もかれもがiphoneやら、任天堂DSを持っているのです。

通常で考えたら日本で50万円ぐらいの携帯電話を購入するイメージなのでしょう。

ところが、実際にはそうではない。

何人かの中国の方に理由を聞いたのですが、納得できたものは実体経済と国に申告されている経済力に乖離があるということ。

つまり会計システムが未成熟で、一般事業主の売り上げがすべて申告されていないのです。

これらの申告されていない売り上げの経済力を武器に、それこそワインでも、車でも、宝飾でも、高価なものから売れてゆくのだそうです。

北京で僕が一緒にゴルフをやった中国人経営者さんは、日本のヘアスタイリスト4名と組んで、数年前に一人350元(8000円ぐらい)で髪を切るサロンを作ったのだそうです。それまでは中国で髪を切るのには20元ぐらい。つまり300円ぐらいだったのです。

金額にして20倍以上。しかしながらこれが大きな話題を呼んで、常に予約でいっぱいになり、現在では450元に値上げしても予約が捌ききれないのだそうです。

実際の経済が把握できないほど、中国は大きな国であるということでしょうが、この未成熟さが経済圏としての飛躍の伸び代となるのでしょう。

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中国は過去 30 年あまりの間、中国政府が把握し公開している経済レベルでも年平均 10% 近くの高成長と、劇的な変貌を遂げてい るのは事実ですよね。

こちら、今回使用した中国元です。

現在でも中国のお札は毛沢東の肖像画が載っています。

文化大革命(66~76年)では毛主席に対する個人崇拝がなされましたが、文革後の改革・開放政策による経済発展が進むと、各地にあった毛沢東の像は次々と取り壊されました。

しかしながら、
官僚の腐敗など社会矛盾が噴出し、発展から取り残された経済的弱者の中には、「平等」であった毛主席の時代を復活させたいと考える人たちもいて、特にこの数年、毛沢東思想が復活してきているのだそうです。

毛沢東と文化大革命については、昔読んだユン・チアン作のワイルドスワンという本が強烈に印象に残っています。ノンフィクションの小説としても面白いですし、現在の中国を理解するために知識人が読むべき本の一つだと思いますよ。

話は中国元に戻しますが、僕もMBAホルダーとして気になっているのは、やはり今後の中国元の動向です。

日本(または日本円)の将来を考えても、これから中国の経済圏の中に飲み込まれてしまうのか、独立した経済圏と知財でアジアのリーダーシップを取り、国を守る方針に移行するのか、現在は極めて重要な局面にあると思うからです。

よく言われることではありますが、ここで改めて認識しておかなければならないのは、中国は2011年の段階ですでに

「世界2位のGDP」を持つ経済圏であり

「世界1位の外貨準備高」を持つ政府があり

「世界1位の貿易黒字」を誇る国であるということ。

それらが意味する未来が何か、ということです。

GDPがアメリカを超えるのは時間の問題と言われていますし、米ドルと欧ユーロが不安定な今、中国人民元が強くなるのは当然です。

外の経済にに対して閉鎖的だった1960年代の社会主義政策の下では、為替レートはほとんど意味のないものでしたが、中国は1970 年代末から対外市場経済を意識した政策への移行を始めました。

特に、1980 年代初頭から為替制度改革に着手して以来、中国元の為替レー トの水準は大きな変化を遂げてきています。他の通貨に比べて元が強くなってきているのです。

近年では、2005年6月には、1ドル=8.27元

ここから2008年6月まで約3年間の間に、1ドル=6.85元になります。

2008年7月より2010年5月末までは米ドルと連動政策を取りましたので 約6.85元に固定されましたが、

2010年6月、米ドルとの連動を解除すると再び上昇をはじめ、6月現在では1ドル=6.28元

となっています。

ここ数年で元の価値は対ドルで約25%も上昇したということです。

日本円に対しても今後は切り上げに向かうでしょうから、今のうちに日本人の資産の一部は、日本国債を購入するのではなく、中国元に変えてもよいのかもしれません。

そして、日本の将来のためにも今後、中国がどのように変化してゆくのか、慎重に見届けなければなりませんね。


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