ケニアへの渡航を決め、まず頭をよぎったのは、予防接種のことでした。
アフリカ大陸の熱帯地域。
医師国家試験の時には覚えたのですが、もう20年近く前の知識。
友人の医師に聞いたり、厚労省のページを調べたりして最新の知識を仕入れました。
アフリカの熱帯地域に行く場合に、まず必要と考えられるのは黄熱病への対策です。
野口英世が研究し、命を落とした病気ですよね。
黄熱常在国に渡航する際には、黄熱ワクチンの接種済み証明書(イエローカード)を入国時に必ず要求する国や、帰国時の乗り換えの時に要求する国もありますので渡航の際に確認が必要です。
黄熱は蚊によって媒介されるウイルス性の感染症で、発熱、寒気、頭痛、筋肉痛、吐き気、黄疸などの症状があります。
現地の人の致死率は5~10%ですが、流行時や免疫をもたない旅行者などでは、60%以上に達するという報告もあります。
ワクチンは1回の接種で10年間有効ですが、注意しなければならないのは接種後10日目から有効になるということ。
黄熱は生ワクチンですので、接種には予約が必要になります。
直前では対処ができません。
もうひとつはマラリアです。
マラリアは熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、四日熱マラリア、卵形マラリアと種類があるのですが、熱帯熱マラリア以外では命を落とすことはありません。
入院の必要はありますが特効薬もあり、この薬を処方することですぐ治ります。
予防的にマラリアの薬を飲む使用法もありそれも考えたのですが、薬による様々な副作用もあり、すすめられるものではありません。
アフリカで蚊に刺された日から1週間から2週間経って高熱(40度近く)が出たらマラリアを疑い、すぐ内科に電話連絡し(薬がない場合がある)受診した方が良いと思います。
アフリカには鎌状赤血球症という赤血球が鎌状に変性する病気があるのですが、この血球を持っていると、マラリアの感染に強いという利点もあり、医師国家試験で勉強したことを思い出しましたよ。
マラリアを媒介する蚊はハマダラカといいます。
その名前の由来は羽根と足に白黒の斑紋があるところからきています。
通常の蚊は吸血するときにお尻を下げますが、この蚊はお尻が上がっていることが特徴のようです。さらに夜間の暗い間しか吸血しませんので特に夜に気を付けた方がいいようです。
その他、いくつもの伝染病があるのですが、蚊を媒介にするものが多いです。
さらに、アフリカ大陸の蚊は、日本で売られているような虫除けスプレーではまず対応できませんので、長そで長ズボンを着用し、蚊帳などを利用するのが良いようです。
しかしながら、今回の様に冬の時期に、マサイマラのように高地のケニアに行く場合は、黄熱もマラリアもそんなに神経質になる必要はないと言われ、現地のナイロビのスーパーマーケットで上記のような強力な虫除けスプレーを買い、毎日使用しました。
なんだか効きそうですよね。まだ余っておりますので、クリニックFの患者さんでケニアに行かれる方がいらっしゃったら差し上げます(笑)。
結局注意深く見ていましたが、蚊に遭遇するようなことはありませんでした。