今日は診療後に慶應義塾大学院の講義に来ています。
生物活性の正しい構造を合成によって知る。。。
東京大学名誉教授の森謙治博士の講義でした。
博士は現在80歳を超えていらっしゃるにもかかわらず、現在でも、週に二回は研究室で新しい物質を合成されているのです。
まさに研究の神のような人です。80歳になっても精力的に研究を続ける、こんな人になりたいとおもいましたよ(笑)。
講義は博士が東京大学大学院の学生の頃に、教授より指示された、植物ホルモンのジベレリンの合成の研究の話から始まりました。
ジベレリンは、確か僕が40年近く前、小学生の時に図鑑で読んだ、種無しブドウを作る時に使用する化学物質だなとふと思い出しましたが、森博士の合成の研究が無ければ種無しブドウが作れなかったかもしれませんね。
博士はジベレリンを世界で初めて構造を同定し、合成したのです。
その後、博士は昆虫フェロモン合成に関する論文を250報以上も発表され、多様な立体化学と生物活性相関を明らかにされました。
たとえば、
1) 片方の鏡像体は活性を有し、もう一方の鏡像体は活性が全くない
(exo-brevicominなど)
2) 一方の鏡像体に活性があり、もう一方の鏡像体は活性を阻害する
(disparlureなど)
3) 一方の鏡像体は雄に、もう一方の鏡像体は雌に対する活性がある
(oleanなど)
などの性質があることを証明されたのです。
博士の合成の技術で、従来天然からは入手が困難であった微量のフェロモン天然体だけではなく、非天然型鏡像体や関連類縁体を用いた研究が可能となりました。
有機化学の世界は奥が深いです。
医学(生物学)、工学(物理学)とを学んできた僕ですが、薬学(化学)を学ぶことで、理系のさらなる知識統合ができるのでしょうか?
これは僕の挑戦ですね。