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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

慶應義塾大学薬学部の講義へ行ってきました

今日は大学院講義に参加しています。

「ガン免疫療法の現状と展望」。

過去の免疫療法について長所と短所がアップデートされ、すっきり納得ものすごく勉強になりました。

がんの治療方法としては、手術療法、薬物療法、放射線療法があげられてきたが、特にこの数年、第四の武器として免疫療法が注目されてきた。

2013年12月号のサイエンス誌では、がんの免疫療法がこの年のブレイクスルーとして紹介され評価された。

元来体内で毎日3000のがん細胞が発生するが、免疫系がこれらを排除し、免疫監視機構をすり抜けた細胞が、個体レベルでがんになるというバーネットの免疫監視理論に端を発し、1970年から非特異的免疫賦活剤、80年よりのIL2などのサイトカイン療法、85年よりLAKを代表とする免疫細胞療法、がん抗原ワクチン療法、抗体療法と進化してきたが、これらはいわば免疫系細胞を車に例えるとブレーキをかけながら、アクセルを踏み続けるような状態であった。

大学

免疫療法の治療成果を大きく変え、近年の評価を高めたのは、免疫チェッックポイント阻害療法である。

そもそも診断されるほどの大きさに育ったがんは、様々な免疫逃避機構により免疫系の攻撃から逃れており、すでに免疫防御機構をすり抜けている。

その理由の一つとしてT細胞の活性化シグナルと抑制シグナルがあるが、T細胞が増殖しすぎないようにバランスをとっている仕組みの一つに免疫チェックポイント分子がある。

このうちCTLA4やPD—1などは、活性化したT細胞に発現し、免疫応答反応を収束させるものである。

これらを排除する阻害剤を併用する様々な臨床試験が行われている。

さらに、この免疫チェックポイント阻害剤も効く人ときない人を見分けるバイオマーカーや複合免疫療法を併用することで生命予後を上げることが可能になってきた。

特にがん抗原特異的体外培養T細胞などの遺伝子改変をしたT細胞などのを用いた養子免疫療法により、強力な免疫反応によってがんを排除できるものもあることがわかった。

この免疫チェックポイント阻害療法を中心に、他の免疫療法や治療薬を併用する複合免疫療法で生存率の向上が期待される。


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