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藤本院長のブログ(新国際学会周遊記)

慶應義塾大学薬学部の講義へ行ってきました

今日の大学院講義は「チロシンキナーゼJAK2の活性制御機構の破綻と慢性骨髄増殖性腫瘍」でした。

要点をまとめると、細胞間の情報伝達を担う多種多彩なタンパク質であるサイトカインのうち、エリスロポイエチンの受容体として、クラス1受容体があるが、こちらのシグナル伝達にはJAK2およびSTAT5が関わっている。JAKファミリーのノックアウトマウスを調べると、JAK2がない場合、造血不全により大勢致死に至る。疾患に関連した活性化型JAK2変異体(V617F/L611S)はエリスロポイエチン非存在下においてCFU-Eコロニー形成を誘導し、さらにこれらは恒常的に活性化しており、増殖刺激に依存しない転写因子STAT5の活性化や細胞増殖を誘導した。これらの変異体の癌化シグナルにおいて、JAK2およびSTAT5の下位にあるc−MycとODCの働きを研究した。ODCの機能を抑えるために、その阻害剤のDFMOを利用したところ、DFMO 投与群は生存日数が延長し、強い抗癌効果を持つことがわかった。DNAが障害を受けると癌抑制遺伝子産物P53の発現量が上昇しアポトーシスを起こすが、JAK2変異体発現細胞によってP53の発現が低下することがわかった。さらにJAK2変異体により発現が誘導される遺伝子群としてオーロラキナーゼAに注目し、研究を行ったところ、オーロラキナーゼAがP53発現低下やシスプラチン耐性に必要であった。最後にオーロラキナーゼAのノックダウンマウスを利用して研究を行うとJAK2発現細胞のシスプラチン耐性において必要なものであることがわかった。

大学_2

20年前に習った僕の医学の知識では対応しきれませんでした。

勉強になりました。

薬学の研究は深いですね。


慶應義塾大学薬学部へ来ています

今日は外来を早めに切り上げて、大学院講義に来ています。

大学院

「抗微生物薬のPK/PD解析に基づいた指摘投与法の構築と臨床応用」

科学的根拠(薬力学・薬物動態)に基づいた薬剤投与について、薬学最新の見地から


新しい英語の原著論文を書いています。

レーザーアシストのドラッグデリバリーに関して、5月ごろから新しい英語の原著論文を書いています。

薬学の論文は、化学式でなければ立証できない世界。医学の論文とは違った厳しさがあります。

自分の書いてきた医学の論文のクオリティが時に恥ずかしく思えるほど、ある意味、精密です。

論文

論文を書くときは、いつ出口があるかわからないトンネルを、孤独に、自分の脳との勝負しながら息をつめて走り続けるような…。

集中して論文を書く時期は、1論文につき3か月と決めているのですが、その時には、眠っていても、ゴルフをしていても、ドライブをしていても、論文の筋道について考えていることがよくあります。

僕の場合、煮詰まるとピアノを弾いたり、交響曲を大音量でかけたり、キャンディクラッシュをやったりして(笑)、束の間リラックスしています。

頭がリフレッシュされ、整理されるんですよね。

雑誌の編集室から依頼されるいわゆる総論論文も大切な仕事だと思いますが、

僕は一人の研究者として、ゼロから1の理論を生み出し、世界に向けて発信することにできる唯一の手段。

英文原著論文にこだわり続けたいと思っています。

そういえば、僕がFBやブログによく書く、「学術論文」って一体なんでしょうか?

とご質問を受けました。

確かに研究者以外には馴染みのないものかもしれません。

大学という最高学府で書く論文には、卒業論文(学士論文)、修士論文、さらに博士論文があります。

それぞれに”査読者”と言われる論文の質を審査する教官がおり、学士は指導教官1名、修士が2名、博士が3名以上の査読者が必要で、順を追って難しくなると言えます。

特に米国では博士号(Ph.D.)が無いと、研究の話ができる基礎学力を持たないものと判断されてしまいますので、致命的です。

一方で、

一般社会で論文というのは、ごく一部の優秀な卒業論文(学士論文)が業界誌に掲載されることがありますが、通常は、修士号取得以降の研究者が書いた、雑誌に掲載された論文のことを指します。

ここでいう雑誌とは二つの種類があります。

一つは、「紀要」という大学が独自に発行している雑誌。

もう一つは「論文誌」という研究領域を同じくしている人が投稿する雑誌です。

10年以上前、大学の「紀要」に日本語の論文を提出すれば博士号が取れた時代がありました。

特に医師が医学博士を取得する場合は、「足の指についた米(取っても食えないが、取らなきゃ気持ち悪い)」と揶揄された時期もありました。

その時代に「博士号を大学から買った」人たちもいるのですが、大学によって博士号取得のためのハードルが大きく違うのも事実。

一般的には、一定水準以上の英文査読誌に、数報の論文が受理されたもののみが、博士号が取得できます。

大学院課程の間に博士号に相当する論文を書くことができなかった場合は、単位取得退学と書かれることが多いです。

論文の種類も、

原著(論文)Original Articles

その中に 臨床研究 Clinical Investigations and Reports

基礎研究 Basic Science Reports

症例報告Case Report

総説 Review article

短報 Brief Report

手紙 Letters to the Editor

に分かれます。

雑誌のレベルの高さは、その雑誌がどのくらいの引用率があるか「インパクトファクター」という数字で示されます。

第1位の雑誌は CA: A Cancer Journal for Clinicians

こちらはなんと、Impact Factor: 115.84

第2位の雑誌は The New England Journal of Medicine

Nature や Science などの雑誌がこれに続きます。

結局のところ、学問の世界を客観評価することは難しく、研究業績というと、「英文原著の数と質」を加味して判断されるのです。


慶應義塾大学院の講義 生物活性の正しい構造を合成によって知る

今日は診療後に慶應義塾大学院の講義に来ています。

大学

生物活性の正しい構造を合成によって知る。。。

東京大学名誉教授の森謙治博士の講義でした。

博士は現在80歳を超えていらっしゃるにもかかわらず、現在でも、週に二回は研究室で新しい物質を合成されているのです。

まさに研究の神のような人です。80歳になっても精力的に研究を続ける、こんな人になりたいとおもいましたよ(笑)。

講義は博士が東京大学大学院の学生の頃に、教授より指示された、植物ホルモンのジベレリンの合成の研究の話から始まりました。

ジベレリンは、確か僕が40年近く前、小学生の時に図鑑で読んだ、種無しブドウを作る時に使用する化学物質だなとふと思い出しましたが、森博士の合成の研究が無ければ種無しブドウが作れなかったかもしれませんね。

博士はジベレリンを世界で初めて構造を同定し、合成したのです。

その後、博士は昆虫フェロモン合成に関する論文を250報以上も発表され、多様な立体化学と生物活性相関を明らかにされました。

たとえば、

1) 片方の鏡像体は活性を有し、もう一方の鏡像体は活性が全くない
  (exo-brevicominなど)

2) 一方の鏡像体に活性があり、もう一方の鏡像体は活性を阻害する 
  (disparlureなど)

3) 一方の鏡像体は雄に、もう一方の鏡像体は雌に対する活性がある 
  (oleanなど)

などの性質があることを証明されたのです。

博士の合成の技術で、従来天然からは入手が困難であった微量のフェロモン天然体だけではなく、非天然型鏡像体や関連類縁体を用いた研究が可能となりました。

有機化学の世界は奥が深いです。

医学(生物学)、工学(物理学)とを学んできた僕ですが、薬学(化学)を学ぶことで、理系のさらなる知識統合ができるのでしょうか?

これは僕の挑戦ですね。


ゴルフと研究室

昨日は先輩ドクターにお声掛け頂き、ゴルフに行ってきました。もう暑くて半袖半ズボンでラウンドしたい感じでしたよ。

終了後はいつもの研究室へ。とっぷり日が暮れた後、窓から見える東京タワーはとても綺麗です。

Tokyo Tower

 

仕事と勉強で毎日は忙しく過ぎていきますが、今年ももう夏が近づいてきましたね。

 


化学の復習

薬学系研究科でのレーザー研究のため、化学の復習をしています。

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改めて興味深いですね。


慶應義塾大学薬学部で

朝一番に慶應大学薬学部で研究の打合せと学生さんへのレーザー医療応用の講義へ。

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こちら、薬剤が皮膚にどのくらい透過するかを調べる機器。

皮膚へのドラッグデリバリーの研究に欠かせないものです。

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薬学部

今日は診療前に、朝から薬学部の大学院へ。

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レーザー研究を指導して来た学生さんの卒論発表会があったのです。

題目は、「ペプチドのドラッグデリバリーを目指した経皮吸収リポソーム製剤の開発」

非常に興味深く、次回の実験へのアドバイス含め、ディスカッションしてきましたよ。

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フラクショナルレーザーアシストによるドラッグデリバリー。

まだまだ研究は進みそうです。


てんかん発作の研究 

錦織選手のおかげで日本中が興奮の朝を迎え、夜にはスーパームーンも見られるでしょうか。

昨日は診療を早めに閉めて、薬学部の講義を聞きに行きました。

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東京大学大学院薬学系研究科の小山隆太先生の特別講義。

2012年にネイチャーに受理された論文

「てんかんは幼少時の高熱による熱性けいれんに起因している」

ことについて講義でした。

もちろん研究内容もそうですが、研究へのアプローチも本当に興味深い内容で、研究者としてとても良い刺激をいただきました。

複雑型熱性けいれんのモデルラットにおいて、熱性けいれんが海馬の顆粒細胞の移動を撹乱し、顆粒細胞を不適切な場所に散在させることが分かったのですが、この異所性顆粒細胞は成体になっても残存し、その数が成体におけるけいれん発作の起こし易さと相関するのだそうです。

つまり、乳幼児期の神経回路形成が、将来の認知機能に与える影響の細胞生物学的検証を行ったということ。

ヒトの場合、1歳以下で起こすと脳に異所性顆粒細胞が生じてしまい、これがてんかん発作の回路を作ってしまう可能性もあるようですが、異所性顆粒細胞の発現には、神経伝達物質であるGABAによる神経興奮性作用と、この作用を担うNKCC1共輸送体が関与するので、KCC1共輸送体の阻害剤を熱性けいれん後に連投することで、異所性顆粒細胞の出現を抑え、将来のてんかんを制御することが出来るのだそうです。

これは小山先生もご指摘されていましたが、将来のてんかんの予防のために神経作用薬をのませるべきかという点についてはまた別の議論が必要となるところかと思います。その一方で、1歳以上で熱性けいれん既往がある方が、将来の記憶認知能力が上がるというデータもあり、とても興味深かったです。

 


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