アドリアーナ ルクヴルールを東劇で観てきました。
18世紀前半に実在したコメディー・フランセーズの女優アドリエンヌ・ルクヴルールの愛と死を題材にした、19世紀後半にフランスで大当たりした作品のオペラ化です。
コメディー・フランセーズは17世紀ルイ14世時代の劇作家モリエールが創設した劇場。
現在でもルーブル美術館の横に存続するフランスの劇場です。
今シーズンのMETのパンフレットの表紙になるぐらいの話題作。
舞台女優のトップスターが恋敵の公妃に毒殺されてしまうというショッキングなストーリーに、現在のMETの歌姫であるアンナネトレプコが演じるとあって、きっと感情移入してしまうのでしょうね。
珍しく、感情を乱されるのでライブヴューイングの幕間のインタビューを入れないでくれと、ネトレプコが希望したのだそうです。
歌も素晴らしかったですが、演題はまさに息もつけない展開で、引き込まれました。
この話はノンフィクションですが、届けられた花に盛られていた毒で、アドリアーナは急死してしまいます。
現在ではこの毒はおそらくヒ素だったのではないかと考えられています。
ドラマの世界では良くありますが、注射ならともかく、急速に命を落とすほどの薬理効果のある噴霧剤。
実際にはそこまでの劇薬は数少ないと思います。
ただし、18世紀の時代にこうした毒殺事件が起こったということが公知になっているとしたら、急性のアレルギーショックのようなものを併発したのだろうかなあと、帰り道、医師として色々考えてしまいましたよ。