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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

どうすればエビデンスを立証できるのか?

外来中です。

場所を見つけてFBやブログ用に写真を撮っていると患者さんやスタッフに声をかけられることもしばしば。

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今日も僕なりに精一杯頑張っています(笑)。
さて、ヘルスケア系の企業から、「エビデンスが無い」と言われてしまうので何とか立証出来ないかと相談を受ける事が多いのですが、ではエビデンスと言うのは一体なんでしょうか?
僕も理系のコンサルティングファームとして、いわゆる理系の謎解きを生業としてきました。今まで、医学、工学、薬学つまり、生物学、物理学、化学の自然科学の博士号と、経営学の社会科学の修士号を取得してきましたが、これはそれぞれの学問での立証論理方法を学ぶために必要な過程でした。
医学の世界で言うと、統計学的に有意差が出るかという点を重視する論文が多いのですが、そもそも統計学をエビデンスの立証に選択する以上は5%は無視しています。

どんなに素晴らしい薬でも、5%の人には効かない可能性があるのです。
英文論文があると根拠にしている企業も多いですが、英文論文の採択率が50%を超える雑誌も沢山あります。

つまるところ現在の英文論文なんて、単なる仮説の一つに過ぎません。
もちろん、信頼度の高い論文誌に、マルチプルな検証総論が出ているものが、最も信憑性が高いといえますが、生物学にはそもそも100%例外がないという事象はありません。
ではどうすればエビデンスを立証できるのか?
誰もが納得できるためには、結局自然科学の立証方法を利用した上で、演繹法もしくは帰納法で理論構築するしかないのです。
自分は仮定理論の上に、さらに理論武装して解を解く、演繹法が得意ですので、その手法をとる事が多いのですが、こうなると文系と理系の再統合が必要になりますよね。
今後は統計学の時代は終わり、AIを用いたビックデータの直接比較検討ができる様になりますし、さらに量子コンピューターが数年で開発されると、演算機能が飛躍的に上がり、実験もしなくて良い状況になります。
我々医師は、まさに自然科学の立証法がパラダイムシフトをおこす、その岐路にいるのです。
さらに、せっかくエビデンスを立証しても、すぐに経営的にメリットとなるとは限りません。
エンゲル係数で有名な経済学者エンゲルは、新しいものが売れるためには、「奇跡的な効果」が実感できないとビジネスにはならないと言っています。

今は企業努力により、良い製品ができているのは当たり前、良い物を作れば売れる時代は終わりました。マーケティング自体がもう古い考えとも言えるのです。
やはり、市場の既存の価値観を変える様な、新たな価値を提供する知的財産ビジネスモデルの模索が、今後企業が行うべき方向性なのでしょうね。
僕も薬学博士を取ったのち、一年半が経過しましたので、そろそろ次のアカデミックな目標を決めたいと思っています。
ハーバードでビジネスの学位を取るか、音大で指揮者の勉強をするか、知的財産立証を求めて弁理士の資格を取るか。
どうしますかね。笑。


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