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藤本院長のブログ(新国際学会周遊記)

シェフの気持ち

2007年07月11日(水) カテゴリー:徒然

道を歩いているとたまに、すこし前までは灯りが点っていたレストランやコンビニ、書店などにシャッターが閉まって「しん」と静まり返っているのを見かけることがあります。特にレストランは移り変わりが激しいですよね。東京は新しいものが毎日のように出来ますが、それと同じぐらい人知れず閉店となるお店も多いのでしょうね。先日も大きなレストランが一軒つぶれた跡地が一面駐車場になっているのを見て、なんだかとても寂しい気持ちになりました。

個人クリニックというのは、ある意味街の小さなレストランやビストロに似てるところがあると常々思っています。シェフひとりにわずかなスタッフでやっているお店で、厨房で一生懸命フライパンをゆすりながら、カウンター越しに横目でお客さんの状態やテーブルの上をチェックしているシェフを見ると「開業医みたいだなあ」と思うんですよ。

シェフの友人がいるわけではないのでこれはあくまで想像ですが、料理人の場合、料理の腕にいくら自信があっても独立して自分の店を持てばお客さんを「待たなければ」ならない。お客さんが来て、「おいしい」と言ってくれて、さらにそのあともう一度足を運んでくれたときにやっと「ほっ」とひと息できるんじゃないでしょうか。

味だけでなく、売上とサービスも成り立たせなければならない。

どこかのレストランで修行をしているうちは、技術を極めることだけ考えていれば良かったのに、一歩店を出て独立した瞬間から、技術に加えて、「人気」と「経営」を考えなければならない。そして自分がイメージするそのままの料理を絶妙なタイミングでお客さんに出すために、スタッフの教育と育成もしなければならない。

こうしたすべてが開業医の自分と重なるような気がして、街に小さなレストランが出来ると、応援したくなってしまうのです。

僕は今回の「クリニックF」で合計5つのクリニック立ち上げに関わったことになりますが、新しくクリニックを作ると、それがどんなに良い設備を整えていても、半年「忍耐」の期間があります。毎日毎日ひたすら患者さんが来るのを待ち続けるのです。

電話が鳴るたびに一喜一憂し、患者さんが来ない日があれば自分のどこが悪いのかと悶々と悩む日々。

この「ひたすら待つ苦しみ」と言うのは、患者さんがいることが当たり前だった大学病院の勤務医時代には経験がないもので、開業医になって初めて感じる辛さでした。その分、患者さんが来てくれたときの喜びはヒトシオです。診察できるありがたみを、言わば初めて知るわけですね。いくら素晴らしい料理を作る腕があっても、それを「食べて」くれるお客さんがいなければ、自分の存在価値はないのだと思い知るわけです。

思い返せば、いつでも新しいクリニックの立ち上げで苦しいときに、来てくれたお客さんの顔は忘れないものですよね。


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