今月6月17日、ユニバーサルミュージック社よりクリニックF藤本幸弘監修で、クラシック音楽のコンピレーションCDが三枚発売されることになりました。
今日出来立てほやほやのCDがクリニックに届きました。
こちらです。
タイトルが3つ。
■藤本先生の 聴くだけで痛みがスッキリ
収録曲:白鳥(サン=サーンス)、ホフマンの舟歌(オッフェンバック)、弦楽セレナード~ワルツ(チャイコフスキー)、パガニーニの主題による狂詩曲 第18変奏(ラフマニノフ)他
■藤本先生の 聴くだけで悩みがスッキリ
収録曲:弦楽のためのアダージョ(バーバー)、楽園にて(フォーレ)、ヴァイオリン協奏曲第一楽章(メンデルスゾーン)、飛翔(シューマン)他
■藤本先生の 聴くだけで不眠がスッキリ
収録曲:ゴルトベルグ変奏曲:アリア(バッハ)、ピアノ協奏曲第20番~ロマンス(モーツァルト)、ピアノ協奏曲第2番 第2楽章(ショパン)、ピアノ協奏曲第5番《皇帝》第2楽章(ベートーヴェン)他
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音楽というのは、それそのものがナチュラルメディスンであるのだと思います。
中でもリズム・メロディ・ハーモニーを三位一体として内包し、ヴォーカルに依存せず、厳格な規則性でもって構成・作曲・演奏されているクラシック音楽は、医学的にも非常に興味深いジャンルの音楽ではないかと思っています。
クラシック音楽を聴くことによって、脳に一体何が起こりえるのか、人間のからだにどんな変化を及ぼすのか、これを個人的に僕は知りたくて勉強したり研究したりしていたわけなのですが、ここまでの結論としては、自律神経に働きかけ、ホルモン分泌を促すことについてクラシック音楽が持つポテンシャルはずば抜けて高いということです。
自律神経が安定しホルモン分泌が活性化することによって、副次的な効果として慢性的な痛みが軽減されたり、不安や焦燥といった心の陰りが一掃されたり、良く眠れるようになったり、若返ったり・・・といった効果が期待できるのです。
こうしたことをブログ他でお話しして来ましたところ、クラシックCDの監修をやってみないかというお声掛けを頂きました。
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今回とにかく嬉しかったのが、そのお声掛けを下さったのが、あのユニバーサルミュージック社だった! ということでした。
元々認識としては持っていましたが、実際赤坂の本社に伺って打ち合わせを重ねていく内更によく理解したのが、ここはクラシックやジャズを始め音楽の好きな人間にとって本当に夢のような音源が眠る場所だということです。
大好きなクラシックの名曲をそれら“お宝”音源の中から、歴史に残る名演に特化し選ぶことが出来るというのは、時に鳥肌の立つような経験でしたよ。
人生初めてとなるライナーノーツの執筆も経験させて頂きました。そして、3枚すべてを聴かずそれぞれのCD単体でもクラシック入門編として楽しめるような曲を集めました。
一枚一枚また機会がありましたらご紹介させて頂きたいと思いますが、まず最初のCD「痛みがスッキリ」についてライナーノーツに書ききれなかったことをひとつ書いておきたいと思います。
人間は多かれ少なかれ痛みを抱えながら生きていく生物であると思います。しかし、痛みを感じながら過ごす1日24時間というのは実に実に長く、時に耐えがたいものです。
医師による処方を受けても、様々な工夫を凝らしても、その痛みを肉体から切り離せず苦しまれている方は今この時も多くおられることでしょう。
音楽の力でその時間をやり過ごし、すこしでも軽減させ、痛みを忘れる時間を創ることが出来たらという気持ちで今回選曲をさせて頂きましたが、その中にどうしても入れたい曲と指揮者がいました。
それは、僕が愛してやまないNYのMETメトロポリタンオペラでタクトを振るジェイムズ・レヴァインによる楽曲です。
様々な痛みを堪えながら舞台に立ち続ける音楽家は過去にも現代にも多くいます。痛みの最も耐え難い部分は、こんなにひどい痛みと、その痛みに耐えている自分を、どんなに近しい人間であっても他人はそれらを共有することができないということに尽きます。痛みという孤独は人間を地の果てまで追い込みます。
しかし舞台の上でこの巨匠レヴァインは満身創痍の体を車椅子に乗せ、ダイナミックにタクトを振り続けます。その指揮棒によって導かれる楽曲は心の孤独を必ずや救い出す手立てをくれることと思います。
今回は、シカゴ交響楽団によるホルスト「木星」と、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるチャイコフスキー「花のワルツ」を選びました。曲の並ぶ順番にも僕なりのこだわりを盛り込んでいますので、一度お聴きいただけたら本当に嬉しいです。