六本木東宝シネマまで出かけてきました。
目的はこちら。
ニューヨーク・メトロポリタンオペラ、通称METのライブビューイングでヴェルディの名作「マクベス」が一週間期間限定で公開されているのです。
ちょうど9月にNYに行ったにも関わらず、タッチ差でオペラを観ることが出来ませんでしたが、この今年のマクベスは「超」のつく話題作。どうしても観たいと思っていました。
まず今回の舞台のために集まったこの豪華キャストを見てください。
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◇指揮 MET主席指揮者 ファビオ・ルイ―ジ
◇演出 イギリス演劇界の重鎮 エイドリアン・ノーブル
◇マクベス夫人 アンナ・ネトレプコ(ソプラノ)
◇マクベス ジェリコ・ルチッチ(バリトン)
◇バンクォー ルネ・バーベ(バス)
◇マクダフ ジョセフ・カレーヤ(テノール)
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オペラ・ファンにとってはこの布陣だけでどんな舞台になることかご想像いただけるかと思いますが、期待を裏切らない素晴らしい作品でした。
パブリック・ビューイングでオペラを観るというのは、この10年ほどに生まれた新しい観劇スタイルかと思います。
緻密なカメラワークとわかりやすい字幕、舞台裏も見せてくれる演出、途中で幕間も入るというスタイル含め、特にオペラに馴染みのない初心者の方は入りやすいかと思います。
映画一本のチケット代で豪華キャストが揃う舞台を観られるというのも、もちろん素晴らしいですよね。
生の舞台を客席から観る限りでは見えない、例えば今回で言うと
ファビオ・ルイージの圧倒的な存在感と力強いタクト、
オーケストラピットの熱気から舞台は始まり、ベテラン・ルチッチが3時間という長丁場をどう最後まで引っ張るのか、
ネトレプコの鬼才溢れるマクベス夫人とその歌唱力、
バーベとカレーヤといった実力者によってさらに艶を増すストーリー展開、
他演者の凄味・・・
といったものを、ひとつひとつ大画面で確認しながら追っていくことができるのです。
それらのナビゲーターを務めたのは、第3作のビゼー「カルメン」で舞台に立つアニータ・ラチヴェリシュヴィリ(メゾソプラノ)。
演者ならではの視点に立ったインタビューを舞台関係者にしているシーンが、幕間に入ってきます。
答える方もリラックスしている様子が伺え、ルチッチがその中でヴェルディの作品はバリトンのためにあるようなものが多い、自分にとってそこも含めて特別だというような話をしていたり、ネトレプコがおどけた表情で悪女について語るようなシーンも楽しめます。
音響も想像以上に良かったですよ。
素晴らしいアリアを聴くと、そこが劇場ではなく映画館であっても、思わず歓声を上げ拍手したくなりますね。
良い気分転換になりました。