メトロポリタンオペラ ライブビューイングですが、いよいよ第9回目の作品であるワーグナーのニーベルングの指輪、第一夜「ヴァルキューレ」が始まりましたので、さっそく観てきました。
ライブビューイングはシーズンごと10回の公演ですが、ワーグナーだけチケットは5100円。
映画館にしては高いのですが、まあ上映時間が5時間を越えますので、一時間当たり千円みたいな感じですね。(笑)。
今日は最前列以外の席はほぼ満席で、驚きました。
ワーグナー音楽は男性好みと言われていて、海外でこのリングを観ると、観客はほとんどが男性なのですが、日本では女性の観客が多いのです。
ワグネリアンとしては不思議な現象だと思います。
ニーベルングの指輪は僕のブログ国際学会周遊記でも数多くふれてきましたが、以下の四部作となっています。
序夜 『ラインの黄金』(Das Rheingold):2時間40分
第1日 『ワルキューレ』(Die Walküre):3時間50分
第2日 『ジークフリート』(Siegfried):4時間
第3日 『神々の黄昏』(Götterdämmerung):4時間30分
演奏に通常は4日間かける、「史上最高の壮大なオペラ(楽劇)」だと言われています。
英語圏ではこの4日間のリング公演開催を、リングサイクルと呼んでいるのですが、この物語はそもそも観るのが16時間かかり、3世代にわたる神々の物語なのです。
北欧神話とニーベルンゲンの歌、英雄シグルスの伝説を元にした壮大な神話劇です。
最初は理解するのも難しい。
ただし、聴くたびにあたかも麻薬のようにどんどん引き込まれてしまうのがワーグナーの音楽で、僕もそう思います。
神話をオペラ形式にするこの発想は、スターウォーズ、指輪物語などに引き継がれていますね。
中でも「ワルキューレ」はこの物語に内包される多くの謎が織り込まれた、起承転結の承の部分にあたり、4作の中で最も人気のあるものです。
特に、第三幕の開幕では、あの「地獄の黙示録」のアパッチのシーンに使われた壮大な音楽「ワルキューレの騎行」が使われています。
METのロベール・ルパージュの演出があまりに素晴らしく、映像を観ていても涙が出そうになりましたよ。
リングを初めて観てからもう何十年も経ってしまいましたが、観るごとに、いまだに新しい事実に気づきます。
一体幾つの伏線をこの物語に引いているのでしょうか?
ワーグナーの本家であるバイロイト音楽祭では、独自バージョンの前衛的なリングが毎年公演されていて、賛否両論あるのですが、METのものはまさに正統派で、時の話題の歌手を用いているので、いつ観ても安心して心から感激できますね。
今回の上映は一週間だそうですが、お勧めしますよ。
出演:クリスティーン・ガーキー、エヴァ=マリア・ヴェストブルック、スチュアート・スケルトン、グリア・グリムスリー、ギュンター・グロイスベック、ジェイミー・バートン
写真はMETのWEBからお借りしました。