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藤本院長のブログ(新国際学会周遊記)

ボローニャ歌劇場来日公演

おはようございます。残暑が続きますね。

今日9月16日(金)もクリニックFの診療日です。

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イタリアの名門オペラ ボローニャ歌劇場が、いよいよ来日しました。

僕は13日に東京での最初の公演に行ってきました。

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チケットを押さえたのは、今年の1月。

昨年末に2011年に観たいオペラを列挙してチケットを押えたのです。

今年の日本は来日オペラの当たり年で、世界でもなかなか観られないぐらい、素晴らしい公演が幾つも来日する予定だったんですよね。

特に今回のボローニャ歌劇場は

■ビゼー「カルメン」のドンホセ役にヨナス・カウフマン

■ベッリー二「清教徒」のアルトゥーロ役にファン・ディエゴ・フローレス

■ヴェルディ「エルナーニ」のエルナーニ役にサルヴァトーレ・リチートラ

・・・と、現在を代表する三人のテノール歌手を擁しての来日公演で、オペラファンとしてはとても楽しみにしていたのです。

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3月11日という未来が来ることを、あのときは誰も知らなかったんですよね。

東日本大震災、そして福島原発事故。

6月に来日したニューヨークメトロポリタンオペラは、芸術監督のジェームス•レヴァイン含めほぼ全ての主演スタッフがキャンセルとなります。

そんな中で、震災後半年にあたる、このボローニャ歌劇場の来日人員のスケジュールが少しづつ明らかになってきました。

まず、8月終わりにヨナス・カウフマンの来日/出演キャンセルが伝えられ、

8月29日には、サルヴァトーレ・リチートラのシチリア島でのバイク事故で重体という衝撃的な報道が。

さらに9月2日には、フアン・ディエゴ・フローレスのキャンセルが伝えられるという大波乱。

ちなみに13日の「カルメン」では、

○「カルメン」 ドンホセ役 ヨナス・カウフマン「胸部のリンパ節の切除手術」のため、出演、キャンセルとなりました。ドンホセ役は、マルセロ•アルバレスが演じます。

○「カルメン」 エスカミーリョ役 パウロ・ショットは「声帯に発声障害が生じている」との医師の診断により、出演 キャンセルとなりました。エスカミーリョ役はカイル・ケテルセンが演じます。

○「カルメン」 ミカエラ役 「熱をともなう重症の咽頭炎・扁桃炎で15日間の治療と完全な休養が必要」との医師の判断により、アレッサンドラ・マリアネッリは出演キャンセルとなりました。ミカエラ役はヴァレンティーナ・コッラデッティが演じます。

・・・こうした掲示が次々とWEBにあがり、カルメン、ドンホセ、エスカミーリョ、ミカエラの4人の重要な役のなかで、カルメン役のニーノ・スルグラーゼ以外はすべて代役といった事態となりました。

当日、ボローニャ歌劇場 フランチェスコ・エルナーニ総裁の通訳を交えた挨拶のシーンでは日本の舞台としては珍しく、ブーイングも出ましたが、それをたしなめる客もいて、騒然とした雰囲気で舞台は幕を開けました。

この日を迎えることができただけでも感謝したいと思う一方で、それでもどこかにやりきれない思いを抱え、それを誰にぶつければいいのやらわからず、ブーイングをしてしまう観客の気持ちもわかります。

日本はとにかく公演チケットが高いので、尚更でしょうね。

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カルメンは、ここで改めて言及するまでもありませんが、ビゼーが作曲した超名作オペラです。

どの曲をとっても素晴らしいものばかり。僕もカルメンが大好きで、DVDを含めると何十回観ているか分かりませんが、聴きこめば聴きこむほど、この舞台の素晴らしさがわかるように感じるのです。

様々な演出のものがあるのですが、今回のボローニャ歌劇場の演出は、カルメンの舞台をスペインから1990年代のキューバに移したものです。

会場に入ると舞台の幕として使用されている大きなキューバの旗が。

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斬新な演出に驚きました。

カルメンが「たばこ工場」に勤め、ホセが「兵隊」であることは変わりないのですが、

カルメンが踊るのが「フラメンコ」でなく「サルサ」に

エスカミーリョが「闘牛士」ではなくて「ボクサー」に

ミカエラの職が「看護婦」に

カルメンやドンホセが第二幕以降で所属する「盗賊」が「密輸団」になっているのです。

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キューバもスペインも同じラテン系の国ですので、ほとんど違和感なく舞台が進みます。

第1幕でカルメンが、

セヴィーリャの城壁の近くのリーリャス・パスティアで、私の好きな人と踊って飲みたい

・・・とホセを誘惑するシーンがあるのですが、歌もその通り歌われていました。

さすがにセヴィーリャという地名のセリフは変えられないよなと思って、第2幕を観ていると、お店の名前のネオンが「Bar Sevilla(バー セヴィーリャ)」になっていたりして…。

そして、スペインにとっての「闘牛士」は、キューバにとっての「ボクサー」ですよね。どちらも多くの観客を呼べる国民的人気の単身のスポーツ選手で、演じられていて全く違和感はないのです。

そういう演出は楽しめました。

舞台の感想は・・・

カルメン役のニーノ・スルグラーゼは調整もあったのか、声量がちょっと足りなかったとは思ったのですが、妖艶で素晴らしい演技をしてくれました。

こんな時期でも日本に来てくれた、ドン・ホセ役のマルセロ・アルバレス、エスカミーリョ役のカイル・ケテルセン、ミカエラ役のヴァレンティーナ・コッラデッティは、それぞれ素晴らしい演技をしてくれたと思います。こうした代役の起用時に脚光を浴びる歌手もいますので、楽しみにしてはいたのですが、とはいえやはり準備期間も短かったのでしょう。

僕としては、震災や原発事故による様々な事情を思う一方で、でもやはり気持ち的に消化不良の残る「カルメン」となりました。事前の配役を観て、世界最高の記憶に残るカルメンが観られるのではないかと、つい大きな期待を抱いてしまっていたのでしょう。

幕が下り、帰宅後、焼酎と共に自分のコレクション10枚以上の「カルメン」の中から、お気に入りの2枚のDVDを、続けて観てしまいましたよ。

ひとつは、2007年イギリスはロンドンのロイヤルオペラハウスで行われた、ヨナス•カウフマン(Jonas Kaufmann)のドンホセ、イルデブランド・ダルカンジェロ(Ildebrando D’Arcangelo)のエスカミーリョのもの。

どちらも1969年生まれの歌い手ですが、この演奏は本当に秀逸で、僕の中では最高のカルメンです。

ホセがカルメンを殺してしまう第4幕最終章の、後の場面から始まる演出。

カルメンにもらった枯れた薔薇の花を持ちながら後悔と苦悩の念にかられているホセ。

そのホセが兵隊に連行された後、回想のようにカルメンの舞台が始まるのですが、カルメンの前奏曲とこの場面が見事に調和しているのです。

もうひとつは2010年1月 ニューヨーク、メトロポリタン歌劇場におけるライヴ収録のものです。

カルメンはエリーナ・ガランチャ。ドン・ホセはロベルト・アラーニャ。ミカエラはバルバラ・フリットリのもの。

こちらも最近の演奏としてはかなりの高評価です。

今でも新しい演奏のカルメンをアマゾンで見つけるとついつい買ってしまうのですが(笑)、誰でも知っているカルメンだけに、演技者の層も厚く、皆独自の工夫を加えていて、どれもとても楽しめるのですよ。


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