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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

キエフ・オペラの「カルメン」

昨日は2010年のキエフ・オペラ来日最終公演の「カルメン」を、横浜にある神奈川県民ホールで観てきました。

早めに着いたので、中華街で肉まんを買って、食べながら街を歩きました。

ちょっとした旅行気分ですね。

山下公園を歩くと、銀杏の木が綺麗に色づいていて、銀杏の匂いがしました。

神奈川県民ホールは、鎌倉高校時代に校内の合唱コンクールが開催された時に来た以来ではないかなあ。

もう20年以上も前の話になってしまいました。

さて、ビゼーの名作「カルメン」です。

僕はこのオペラを多分既に10回以上舞台で観ていますが、ジプシーの女「カルメン」、竜騎隊の伍長「ドン・ホセ」、闘牛士「エスカミーリョ」、そしてホセの婚約者「ミカエラ」の織り成すストーリーは、観る度に新たな発見があり、毎回楽しめるのです。エキゾチックな雰囲気と、誰もが記憶している旋律も素晴らしいですよね。

今回もウクライナ国立歌劇場の舞台装置と衣装をそのまま持ってきたのでしょう。思わずため息が出てしまうような色彩豊かで素晴らしい舞台でしたよ。

カルメンの作曲家のジョルジュ・ビゼーは、今では誰もが知るこのフランスの名オペラを発表したのち、わずか3ヶ月で亡くなってしまいます。まだ36歳の若さで、死因は敗血症でした。

カルメンも初演が失敗で、失意のもとに亡くなってしまったという記載もありますが、実際にはビゼーが亡くなる3か月の間、30回以上も好評のうち公演がなされ、カルメンの評価は非常に高まっていました。

記録を読んでいると、ビゼーは若いころから扁桃炎や、心臓疾患、通常ならば女性に多い関節リウマチなどに悩んでいる既往もあるのです。さらに、冷水を浴びたり、冷たい水で水泳をするのが好きだったと記録もありますので、日ごろから発熱に悩んでいたのではないでしょうか。

僕は膠原病の専門家ではないですが、発熱や激しい関節痛、血管病変などを併発し、男性の方が発生率の高い、悪性関節リウマチ(MRA)をビゼーは罹患していたのではないのかなあと思います。

この病気はリウマチの中でも、非常に発生頻度の低いものです。あくまで伝えられている情報から判断した僕の私見ですが、この再燃する病気のために、ビゼーは不安神経症や被害妄想などの精神的な弱さも併せ持っていたと言われています。現在だったら診断がついたのかもしれませんね。

医師として、与えられた情報をもとに、こうした過去の有名人の死因を考えるのは、医学知識の整理と頭の体操になるので、(不謹慎かもしれませんが)ついつい考えてしまうのですよね(笑)。

しかし、ビゼーに関しては、ここまで普遍的に誰からも愛される名作を若くして作ってしまったならば、人より早く神に召されても仕方がないのかもしれないと、思ってしまいました。そう思わせるほどに、名作だ、ということなのですが。

そうそう、カルメンのDVDとブルーレイのお勧めのご紹介ですが、ロンドンのロイヤルオペラ、コヴェントガーデンで2006年12月行われたこの演奏は素晴らしいですよ。

輸入版で日本語の字幕がないのが残念ですが、カルメンの映像はこれが一番なのではないでしょうか。こちらのカルメン役は、イタリア出身のアンナ・カテリーナ・アントナッチ。彼女のハバネラの画像を見つけました。

僕も注目しているドイツ出身の正統派テノールであるヨナス・カウフマンのドンホセもまさにはまり役です。来年はカウフマンが6月と9月に、8年ぶりに来日するのですが、今から楽しみです。

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