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藤本院長のブログ(新国際学会周遊記)

アンナ・ネトレプコのオペラ「マノン」

三連休の最終日、上野の東京文化会館にオペラを観に行ってきました。

英国ロイヤルオペラハウスによる、ジュール・マスネの「マノン」です。

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この日は、「当代きってのマノン歌い」と評されるロシア人ソプラノ歌手アンナ・ネトレプコの歌う最終日。

ちょうど5月にロンドンのコヴェントガーデンにあるロイヤルオペハラウスでオペラ「アイーダ」を観たのはこのブログでもご報告しましたよね。本当に心を揺さぶられた素晴らしい公演でした。

その翌月、つまり今年6月に、アントニオ・パッパーノ率いるこの「マノン」はロンドンでプレミエとなりました。

音楽面、演出面ともに専門誌で絶賛された公演。

それが早くも来日したのです。2010年は6月にもロイヤルオペラ・バレエ団も来日していますし、まさに記憶すべき年ですよね。

今年日本で行われるおそらく1番のプラチナチケットを、今回僕はどうしても手に入れたくて、二ヶ月ぐらい前にネットオークションで競り落としました(笑)。

超高額の部類のチケットですが、それでも定価よりは少し安かったでしょうか。

とはいえ、落とせた席は残念ながら3階席の奥。オペラグラスを持っての観劇になりました。

開場の少し後に着いたのですが、会場は5階まで完全に満席。熱気にあふれていましたよ。

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マスネの「マノン」はアベ・プレヴォーの小説「マノン・レスコー」を土台にしたオペラです。

巨匠プッチーニも同じ題材のオペラを書いていますし、他にも題材が同じオペラがあると聞いています。バレエの題目もありますよね。

この物語は、外見の美しさに加えて、すべての男性を魅了してしまう天性の純真さを持った女性マノンの物語。

マノンの悪意のない自由奔放で天真爛漫な性格、妖艶な立ち振る舞い、そして波乱の生涯を描いたもの。

実はネトレプコが世に出てきてから、プッチーニの「マノン・レスコー」よりも、マスネの「マノン」が演奏される機会が多いのです。

このマスネの「マノン」のイメージに、「マノン」の分身ともいえるべき、はまり役のネトレブコというソプラノ歌手(兼女優)が出てきたためなのだと思います。

さて、マノンの構成は5幕。

観たことのない方のために簡単にストーリーをご紹介しますね。

第1幕では、マノンをはじめとしたこのオペラの主人公たちが登場します。

マノンは一族の意向により、修道院で寄宿生活をすることになります。マノンを送るために、軍人の従兄レスコーと待ち合わせをします。

待ち合わせの場にいる少女マノンのあまりの美しさに、まず大金持ちの老人ギヨーが、そして騎士デ・グリューが愛をささやきます。

マノンは、騎士デ・グリューと情熱的な恋に落ち、修道院に行くぐらいなら、二人でパリで暮らそうと、ギヨーの馬車に飛び乗って逃走します。

続いて第2幕は、マノンとデ・グリューの二人が貧しいながらも幸せに暮らすパリのアパートの舞台からはじまります。

デ・グリューは2人の結婚を許してもらうために父に手紙を書いて、マノンの前で読み上げています。ここのアリアはとても有名です。

しかし、結婚反対するデ・グリューの父親は、友を使って息子を拉致する計画を立てているのです。

ギヨーの友人の貴族ド・プレティニはこの計画をマノンに話し、もしも拉致計画を黙っていたら、裕福にしてやると言葉を残します。

16歳のマノンの心は揺れますが、デ・グリューのためには自分の様な女は近くにいない方がよいのだと納得し、名曲「さようなら、小さいテーブルよ」というアリアを歌いあげます。

ドアのノックの音に、「出るのはやめて」と叫ぶマノン。心の葛藤が垣間みられます。しかし、大丈夫だよ。安心しなさいと言って、家の外に出たデ・グリューが複数の男達に連れ去られるところで幕は落ちます。

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幕間は多くの人たちでにぎわっていましたよ。

ロイヤルオペラハウス限定のトートバックとTシャツが特別に販売されていて、思わず買いそうになりました(笑)。

続いて物語の一番の盛り上がりである第3幕です。

パリの散歩道クール・ラ・レーヌを歩く、美しく着飾ったマノン。

この時、マノンはパリに住む美人の中でも自他ともに認める「女王」としてふるまっており、「どこの道を歩いても」を歌いあげます。

パリに住む多くの男たちはマノンの気を惹こうと必死。このシーンのネトレプコの画像をYouTubeで見つけました。

この動画の後半部分3分50秒を超えたあたり。

僕がマノンで一番好きな曲ですが、ネトレプコの声質が素晴らしいですよ。

ギヨーは大枚をはたいてパリ・オペラ座のバレエ団を手配して、バレエを見せることでマノンの気を惹こうとしますが、マノンの心はここにあらず。

なぜなら昔の恋人デ・グリューがマノンを忘れて神父となり、サン・シュルピス修道院にいると、偶然聞いたからです。

マノンはデ・グリューのいるサン・シュルピス修道院に向かいます。

敬虔な神父になったデ・グリューは、自分を裏切ったマノンの姿を見て激しくショックを受けますが、マノンに「昔の愛を思い出して」と請われると、デ・グリューはマノンの魅力にあっさり陥落してしまいます。

そして幕間ののち、最終の4幕と5幕になります。

第4幕では、再び愛の生活を始めたマノンが、デ・グリューと一緒に賭博場へと向かいます。豊かな生活のために、一攫千金を狙いにやってきたのです。

賭け事に気が進まないデ・グリューに対して、2人に恨みを持つようになったギヨーが賭けを申し込みます。

ところが、大勝ちしたのはデ・グリュー。ギヨーは烈火のごとく怒り、デ・グリューが「いかさま」をはたらいたと難癖をつけて、警察を連れて戻ってくるのです。

誤解は晴れず、主犯とされたデ・グリューは、その場にいた父のおかげで一時拘束に。しかしマノンは共犯者として逮捕されてしまいます。

続いて短い第5幕。流刑の地に向かうマノンは、既に瀕死の状態。マノンを追ってきたデ・グリューと、劇中3度目の出会いのシーンになります。死期が近いマノンは、デ・グリューに自分の不実を詫びて、デ・グリューの腕の中で息を引き取り、幕が落ちるのです。

最終日ということもあったのかもしれませんが、幕が落ちた時に、会場が総立ちで10分以上も拍手を贈っていました。

ネトレプコも何度も舞台に出てきてくれましたが、日本の劇場であんな光景を見るなんて珍しいですね。

それほど多くの人の心が動かされたということなのでしょう。

マノン役のネトレプコは声の調子も良く、本当によかったのですが、今回急遽デ・グリューの代役を務めたニコラ・クルジャルもネトレプコに勝るとも劣らない素晴らしい演技をしていました。喝采を受けていましたよ。

ちょっと気にかかったのは、40歳を間近にしたネトレプコが、今回、突然にふくよかになったこと。

私生活では2人目の出産が終わったばかりと聞いていますが、DVD全盛の時代ですから、オペラも映像で残ってしまいます。

マノンを演じ続けるためにも、ファンとしてこれ以上は太らないでほしいです…(苦笑)。

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発泡酒でほろ酔いで、幸せな気持ちで劇場を後にしました。

久しぶりに素晴らしい本場のオペラに触れることができて、充電されましたよ。


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