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藤本院長のブログ(新国際学会周遊記)

医師のためのリーダーシップ論

2010年11月20日(土) カテゴリー:経営学

僕が所属している米国皮膚科学会(AAD:American Academy of Dermatology)から

「69回目にあたる来年度の年次会で、リーダーシップ論のセミナーを開催する」

というお知らせのメールが来ました。

こんなかんじです。

Photo

Leaders in Dermatology. Leaders in Life.

Learn to be a leader and inspire others to do the same. It’s the Leadership Institute’s official launch! The Leadership Institute was established to help dermatologists like you become extraordinary leaders.

このような標語の下、多くのリーダーシップに関するセッションが開催されるということでした。

医師がリーダーシップについて学ばなければいけない時代になった、ということです。

医師として良い治療ができればいい

医師として医学について深い知識があればいい

技術者、知識者、時に研究者であることが医師としての絶対条件であることは今も変わりないと思いますが、それだけでは最早やっていけないことも、皆うすうす感じていることは否めないと思います。

こうしたときに、欧米でトピックとして取り上げられるものは、非常に興味深いですよね。

米国の医学会に参加すると、学術分野の中でも社会科学系(経営学や国際研究、コミュニケーション、法学など)の学問とコラボレーションをした発表が含まれることが多く、大変勉強になります。

アメリカにおけるメディカルスクールの入学資格は、他学部の大学を卒業した者が原則なので、医師の中には他の分野の専門家が必ずいる、ということもあるのでしょう。

これは様々な意味で“メリット”ですよね。

日本では、18歳=ティーンエイジャーから、浪人したとしても20代前半で大学の医学部に入り、そのまま6年間どっぷり医学の世界に漬かって、大学を卒業。そしてストレートに大学の医局または系列の病院で研修医生活に突入し、昼も夜もなく働く。

そのままあっという間に30代も半ばを過ぎ、40代や50代になった頃、

「未成年から成年となり、社会人としての自分を振り返ると、医学部と病院の中にしかなかった」

ということが普通の世界です。

忙しい毎日に流されて、他の学問や病院以外の世界を学ぶ機会を逃してしまうことも十分ありえます。

現在の日本の制度が良いのか悪いのか、それは僕が論じたり判断すべきことではないと思いますが、ひとつ言えるのは、こうした制度を今後も貫くのであれば、各関係省庁はそこを踏まえた上で日本の医療問題、医師問題をどうすべきかを考えていく必要があるのではないでしょうか。

僕が医師であるにもかかわらず、ビジネススクールに通いMBAを取得して良かったと思った点は二点あります。

一つは企業価値評価法についての知識を得たことです。

企業価値評価法については、いつかブログでもふれたいと思いますが、簡単に述べると

財務予測をもとに将来のフリーキャッシュフローを予測し、資本コストにより現在価値に割り引き、事業外資産の処分価値を加算し、有利子負債を控除する。

という、DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法の考え方を身につけたこと。

DCF法を自分が経営するクリニックの財務状況に適応し、常にクリニックの現在価値を上げる努力を行い、そのベクトルに合った投資のみを重点的に行うことができるのです。

クリニックFでは、税引き後の収益のほぼすべてを必要なレーザー機器に投資するという経営スタイルを一貫してしかも確信を持って行うことができ、短期間で世界的に見ても数多くのレーザー機器を所有するレーザー専門クリニックになりました。

レーザー機器が増えるということは、患者さんに対する治療の選択肢が増え、これは診療のクオリティが上がることに直結しますよね。

そして、もうひとつは今日のブログの掲題でもある「リーダーシップ理論」を学んだことでした。

現在主流のリーダーシップ論は、ハーバードビジネススクールのジョン・P・コッターが提案した理論です。

ちなみにコッターは、MITとハーバード大を卒業し、1981年にわずか34歳、史上最年少でハーバード大学の正教授に就任した秀才です。

コッターは著書の中で、組織を動かす人間には「リーダーシップ」と「マネジメント」が要求されると明示し、さらにそれらの違いを明確にします。

リーダーシップは組織をよりよくするために変革を成し遂げる役割を持ちます。企業進路の明確化、人心の統合、動機付けと啓発が課題達成のプロセスとなります。

マネジメントは複雑な経営環境に対処して既存のシステムの運営を遂行すること。計画立案と予算策定、組織化と人材配置、コントロールと問題解決が課題達成のプロセスです。

変化のスピードが加速する現代では、特にリーダーシップの重要性が増しているのですが、組織内での認識は未だ低く、意思決定を合理的に導き出す「プロセス」と「ツール」を著作で提案しています。

一方で、「俺についてこい(笑)」的なリーダーシップを発揮することだけがリーダーシップではありません。

幾つかあるリーダーシップ理論のうちで、僕が面白いと思ったのは、ロバート・K・グリーンリーフによって提案された「サーバント・リーダーシップ論」です。

グリーンリーフは、

「真のリーダーはフォロワーに信頼されており、まず人々に奉仕することが先決である」

と提言しました。

サーバント・リーダーは、まず相手が最も必要としているものを提供し、相手に奉仕したのちに、その後リーダーとして相手を導く役割を受け入れるというもの。

この考え方には学ぶことが多かったです。

クリニックという小さな箱を統率するリーダーシップも大切ですが、ここ数年で、国内でも多くのレーザー販売会社の社長が入れ替わりました。

この変革の時代に、新社長がどのようなリーダーシップを発揮しているかが、企業業績の変化の1つのキーになっている気がしますね。

そして、医師に求められるリーダーシップとはどういった性質のものか、僕も改めて考えてみたいと思います。


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