ニューヨークのメトロポリタン美術館には常時5枚のフェルメールの絵が展示されているのですが、このうち何点かは貸し出されていることが多く、5枚をすべて同時に観ることが今までは出来ずにいました。
フィリックコレクションの後、セントラルパーク沿いを歩いて
ニューヨークメトロポリタン美術館(MET)に向かいます。ゆっくり歩いても10分程度の道のり。
約一年ぶりのメットです。
広い美術館の中からフェルメールの絵を探します。
メットにある5枚のフェルメールの絵画は、いずれも寄付によって同館の所蔵になりました。
19世紀にフランス人のテオフィール・トレが、長い間忘れ去られてきた17世紀のオランダ人画家フェルメールを再発見し発表したところ、世界の注目を浴びるようになります。ちょうどその時期、19世紀末にアメリカの産業は黄金時代を迎え、実業家たちは巨万の富を得ました。
その富を背景に、世界のフェルメールの絵画が買われたので、現在世界に散らばる三分の一のフェルメールがアメリカ合衆国にある、というわけです。
1枚を除いて1918年の第一次世界大戦終戦までにアメリカに買い集められたものなのだそうです。
世界に37枚しか作品が現存していない画家の絵画ですから、現在ならば高すぎて値段がつかないでしょうね。
マイケル・フリードサムの寄贈した「信仰の寓意」
チャールズ・ライツマン夫妻の寄贈した「少女」
コリス・P・ハンティントンの寄贈した「窓辺でリュートを弾く女」
ベンジャミン・アルトマンの寄贈した「眠る女」
そして、ヘンリー・G・マーカンドの寄贈した「窓辺で水差しを持つ女」
以前のブログにも書きましたが、やはりこの絵が最も印象に残りますよね。
特に銀の食器に映る赤いテーブルクロスなど、本当に緻密に表現されています。
思ったよりもはるかに短い時間で5枚の絵を見つけられましたので、メットのほかの場所もさらっと観てきました。
医師の仕事は技術や理論だけでなく、患者さんと接するときに自分の中にある一定量以上のエネルギー貯蔵がないと勤まらない、と僕は思っています。
それがないと良い診療/治療を行う事ができないのです。
どういったものでそのエネルギーをチャージするのかは医師それぞれに違うと思うのですが、僕にとっては心の中に絵画や音楽といったものが画像や音として記憶され、それを必要なときに引き出し慈しむ事ができる、ということでそのエネルギーチャージを行っているような気がします。
日本帰国前に、ここに来てやはり良かった、と思いました。
見えるものとしては形が変わりますが、患者さんに旅の成果物を還元できそうです。