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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

「チーム・バチスタの栄光」海堂尊

第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作の「チーム・バチスタの栄光」を読みまし Fi818_0e た。確か、現役の医者が書いた本だということで、日経新聞か何かの書評に載っていたのです。

東城大学医学部付属病院は、米国の心臓専門病院から心臓移植の権威、桐生恭一医師を臓器制御外科助教授として招聘した。彼が構築した外科チームは、拡張型心筋症の心臓移植の代替手術であるバチスタ手術(成功率は60%といわれる)の専門の、通称“チーム・バチスタ”として、連続27症例の成功を誇り、その勇名を轟かせていた。

ところが、3例立て続けに術中死が発生。原因不明の術中死と、メディアの注目を集める手術が重なる事態に危機感を抱いた病院長・高階は、神経内科教室の万年講師で、不定愁訴外来責任者・田口公平に内部調査を依頼しようと動いていた。

壊滅寸前の大学病院の現状。医療現場の危機的状況。そしてチーム・バチスタ・メンバーの相克と因縁。医療過誤か、殺人か。遺体は何を語るのか…。栄光のチーム・バチスタの裏側に隠されたもう一つの顔とは。

これが、作者が医者だけあって、病院内の人事や、手術室の人間関係、よくわかって書かれているんですよ。東城大学医学部付属病院はおそらく関東の地方国立大学(たぶん千葉大学あたり)を想定して書かれています。

権利ばかりを主張する患者、身勝手に動く同僚医師、院外の評判ばかりを気にして、コスト意識を押し付ける病院経営者、協力的ではないコメディカルの人たちに対して、”これじゃ医者は壊れるぜ”という悲しい医師の台詞は、その真っ只中にいた僕としては同情を禁じえなかったですね。


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