先日発売された、平野 啓一郎さんの「マチネの終わりに」を読まれましたか?
1999年、僕が英語での大学院入試と専門医試験に臨むために、医師国家試験以来の受験勉強をしていた頃、平野さんが京大法学部在籍中に書かれた芥川賞受賞作の「日蝕」を読んだのです。
日本に、しかも自分より若い世代に、とんでもない才能を持った文士が現れたものだと驚いた記憶があります。
思えば試験勉強をしなければならない時期に、僕は純文学をよく読みますが、現実逃避の一つなのでしょうね。
こちらも素晴らしい作品でしたが、感想はまた別の機会に。
「マチネの終わりに」の冒頭にカナダのピアニストのグレングールドの演奏の話が出てくるのですが、グールドが夏目漱石の「草枕」を座右の書として人生で何度も読み返していたのをご存知ですか?
ふと思い出して、読後にこの本を手に取りました。
グレングールドはコンサートを開かない孤高のピアニストとしても知られていますが、生涯に4冊の翻訳版の草枕を持ち歩き、そのうち一冊には、多くの書き込みをしたそうです。
草枕の舞台になった熊本の小天温泉の那古井館。
いつか行きたいと思っている場所ですが、地震の影響は大丈夫でしょうか?