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藤本院長のブログ(新国際学会周遊記)

ドイツ発 技術の粋を集めて開発した低温大気プラズマ「kINPen:キンペン」

皆様、こんにちは。火曜外来を担当している西嶌です。

 

今回はドイツのライブニッツ・プラズマ科学技術研究所が、ドイツの技術の粋を集めて開発した低温大気プラズマ「kINPen:キンペン」に関しての報告です。

 

Kinpen1

 

まずは、下の臨床経過をご覧ください。

30歳代女性の腰部に、CO2のフラクショナルレーザーを照射した直後に、kINPen(キンペン)を照射した場合(右)と、照射しなかった場合(左)の臨床経過です。

 

kinpen2

照射後6日目には右腰部の照射部位はほとんどわからなくなっているのに対して、非照射部が同様のレベルまで改善するのに、照射後16日間を必要としました。

 

大変驚くべきことですが、kINPenをわずか1回照射しただけで、CO2のフラクショナルレーザーを照射した後のダウンタイム(かさぶたの期間)が劇的に(約3倍)短縮しました。

プラズマとは、個体、液体、気体に続く第4の形態であり、私たちの身近では、空気清浄、脱臭、半導体プロセシングなどに利用されています。

 

医学界では、創傷治癒や癌治療、殺菌作用の分野で20年以上前から注目されています。

そして、2000年以降、低温プラズマの開発が進み、現在は最もホットな話題の1つとなっています。

 

プラズマ先進国のドイツでは、難治性の慢性潰瘍(他の治療で治らなかった創部)に対して、保険が適応されており、その応用や適応は拡大しつつあります。

 

kinpen3

創部が治る際に必要な因子は様々ありますが、その中でも創部の見た目を元通りに修復するために、特に重要な因子は

①結合組織の増生

②血管新生に伴う血流改善

③表皮細胞の遊走

④感染制御

 

になります。

 

そして、これらの因子を促進させるものが今回のプラズマです。

実はこれは、美容レーザーによるリジュヴィネーション(若返り)で活性化させたい因子と一致しています。

すなわち、健常な皮膚にプラズマ照射した場合、真皮層の結合組織(コラーゲン等)の増生、表皮の老廃物の除去、皮膚の常在菌(アクネ菌など)の殺菌等の効果が期待できます。

今回ご提示した症例は、CO2のフラクショナルレーザーを腰部に照射したものです。

元々腰部は顔面と比較し、2倍以上ダウンタイムが長い部位です。

しかし、kINPenを照射した部分は、非照射部と比較し約11日早くダウンタイムが終了しており、理論的には約3倍のスピードでリサーフェシングが完了したことになります。

このことは、長年、創傷治癒に携わってきた形成外科医としても、大変驚くべきことであり、今後注目していきたい分野です。

kinpen4

ではなぜ、プラズマがこのような効果をもたらすのか?

その点に関してまだ解明されてない部分はあるものの、動物レベルではかなり研究が進んでおり、当院の前田先生、宮下先生も大学院の研究室にて探究しています。

今後、本ブログでも分子レベルの機序に関して説明する機会があると思いますので、楽しみにしていてください。


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