レーザー医工学の面白い点は、レーザーの波長、パルス幅(照射時間)、フルレンス(照射エネルギー密度)によって生体の物質に対して選択性を持たせることにつきます。
●皮下のどの深さの、どの直径のメラニンに対して効果を出すのか?
●表皮のニキビ跡を、どの波長を利用して削るのか?
●下肢静脈瘤をどのように破壊するか?
・・・などなど。
こちらは選択的光融解理論のブログでも詳しくふれています。
この論文を書いたロックス・アンダソン博士との対談ブログはこちら。
レーザー工学を語るうえでもう一つ大切なものがあります。
それは発振モードです。
レーザー発振モードは大きく二つに分けられます。
➀ 連続波レーザー(CW)
➁ パルス波レーザー(PW)
というものです。
CWレーザーは一定の出力が連続的に照射される発振方法で、レーザーの光熱的作用を利用する際に使われます。
レーザー光の強さである「照射出力」は1秒間のレーザー出力であるWで表現される「放射出力」と同義になります。
一方で、エネルギー照射量を制御したい場合はパルス波(PW)レーザーを使用することが多いです。
こちらのパルス波レーザーは、一秒間に一定幅のパルス幅を持った単パルスが一定間隔で繰り返し発射される発振法です。
こちらはパルスの幅によって3種類に分けられています。
パルス幅が
◆10ミリ秒以上のものを ロングパルス
◆マイクロ秒レベルを ノーマルパルス
◆ナノ秒~フェムト秒レベルを ショートパルス
と言います。
同じように、パルス幅が
◇10ミリ秒以上のものを チョップドパルス
◇マイクロ秒レベルを スーパーパルス
◇ナノ秒~フェムト秒レベルを Qスイッチパルス
と呼ぶこともあります。
こうして定義から考えますと、現在はやりのピコ秒レーザーは「Qスイッチレーザーの一種である」と言えるのですよね。