先週インドネシアにこんな本を持ってゆきました。
通常の人と、プロのピアニストの音楽演奏時や視聴時に、どんな違いがあるのかを科学的に分析した本。
こうした解説本を読むときには、論点の根拠がとても大切だと思っています。
そうした際に、僕はいつも引用文献の内容を参考にしています。この本はとても引用が多く、信頼性が高いと思いました。
ピアニストの脳を科学するの本に引用があったnature neuroscience に載った論文読んでみました。
Anatomically distinct dopamine release during anticipation and experience of peak emotion to music
マギル大学のグループが、
お気に入りの音楽を聴くときには脳内から快楽物質のドーパミンが放出されるが、
脳の中で線条体の尾状核では音楽によって「感動する直前」にドーパミンを放出し、
側坐核は音楽によって「感動している最中」にドーパミンを放出することを、
PETとファンクショナルMRIによって突き止めたという論文です。
http://www.nature.com/neuro/journal/v14/n2/full/nn.2726.html
ちなみにオピオイドによる多幸感と精神依存の機序は、側坐核に投射しているドーパミン作動性ニューロンの活性化に伴いますので、同じ経路が活性化していますね。
曲のいわゆるサビを待つ直前と、サビを聴いているときに、違った部位の脳の報償回路が働くのは面白いですね。
ワーグナーのオペラなどを聴いていると、初めて聞いたときには全く難解だった曲が、何度も聴いて、曲を覚えていくうちに深く感動できるようになります。
僕は、ここがオペラの面白い点だと思っています。
初めて聴くメロディーが美しく感動する場合と、
何度も聴いているうちに、次のフレーズが予想できるようになり深く感動できるようになる場合では、脳の報償系が違うということなのですね。