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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

心拍解析による、自律神経機能評価の研究

おはようございます。

今日3月13日もクリニックFの診療日です。

今日の朝は、医療機器メーカーとの打ち合わせで、クリニックに早く出勤しました。

開発中の新しい機器の効能について、自律神経の測定機器を使用して、研究ができないかと相談を受けていたのです。

美は健康の上に初めて成り立つもの。

自律神経の安定化は、健康に欠かせませんので、美容レーザー機器を扱う人間にとっては、自律神経の安定化は非常に興味のある研究テーマでもあります。

今日、使用した機器はこんなもの。

カルフォルニアのBIOCOMテクノロジーという会社の機器でした。

僕の指につけた脈波測定器が見えますか?

ここで取得したデータをコンピューター解析するのです。

今回使用しようとしている測定機器は、心拍変動解析による自律神経機能評価のもの。

ちょうど10年ちょっと前、1999年のことですが、僕も自律神経の研究室で研究をして、自律神経学会誌に英文論文を書いたことがあります。

人間の体は、そのバランスを、自律神経系の交感神経と副交感神経を併律することで保っています。

この自律神経系とは、ドイツのビュルツブルグ大学生理学研究所名誉教授であるRobert F. Schmidt博士が研究、確立された分野。

現代の生理学の基礎の一つとなっていますよね。

この自律神経の研究の際に、シュミット博士の一番弟子といわれた(故)佐藤昭夫博士にご指導いただきましたので、僕はシュミット博士直系の孫弟子ということになります。

理論上はほぼ構築されたこの交感神経と副交感神経理論。

しかしながら、この交感神経と副交感神経の実際の緊張度を、生体で測定するため機器は長い間ありませんでした。

一つ有効な手段と考えられたのが、心電図のRR間隔の揺らぎをスペクトル解析を行う方法。

ちょうど10年前の、僕が東京都健康長寿医療センターの自律神経の研究室にいたころにこの手法は注目されていたのですよね。

当時は心電図からデータをおこしていたのですが、この機器は脈波からデータを取っています。

厳密にいうと、本来であれば心電図上の電気データは、脈波とは乖離があります。

脈波をRR揺らぎ解析に利用するのは問題があるといわれていたのですが、機器を見ると、波の形をした脈波の波の微分値を測定することで、この問題をクリアしているように見えます。

まず、上記の様に5分間測定した心拍の揺らぎを測定します。

それらのデータをもとに揺らぎをスペクトル解析すると

超低周波VLF(0.0033Hz-0.04Hz)

低周波LF(0.04Hz-0.15Hz)

高周波HF(0.15Hz-)

の三つの領域に分けることができます。

このうち

LFは、交感神経+副交感神経の緊張度を

HFは副交感神経の緊張度を示すというデータがあるのです。

そこで、交感神経の緊張度を示すためにLF/HFレシオを算出するとそれぞれの緊張を調べることができるというわけです。

測定されたデータは、縦軸が副交感神経、横軸が交感神経のデータとして出てきます。

僕の場合、両者ともにバランスがとれた状態のようですね。

こちらはもう少し細かく取得したデータ。

取得データの再現性や、さらに呼吸や会話などによって引き起こされる誤差データをいかに排除するかが課題ですが、一定数の母集団となるデータを取得すれば、評価できるのではないかと思いました。

今後の共同研究が楽しみです。

 


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