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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

痛みの薬と冷え症の関係

最近、片頭痛や生理痛、肩こりなどで悩んでいて、ボルタレンやロキソニンなどの消炎鎮痛剤を医師に処方してもらい、飲んでいる女性が多いようです。でも実は冷え症の人にはこれらの薬が向いていないことを知っていましたか?

この薬の仲間は「非ステロイド抗炎症薬(NSAID)」と呼ばれ、いろいろな痛みに広く用いられています。炎症や発熱を引き起こすプロスタグランジン(PG)という物質の生合成を抑制します。プロスタグランジン(PG)の合成酵素「シクロオキシゲナーゼ(COX)」を阻害することによるのです。

痛みがいったん起こると、”痛みの悪循環”という負のサイクルに入ってしまいます。痛みのために交感神経が緊張して、カテコー ルアミンが副腎より分泌されます。カテコールアミンは血管を収縮させます。一方、大脳で痛みを認知すると神経の伝達インパルスは脊髄を下行し、反射性に運動神経を興奮させ、筋肉の緊張を増大させます。これもまた、血管を収縮させます。つまり、痛みの発生部(原因組織)では血管収縮が 起こりやすくなるのです。局所の乏血が起こると、血流不全となり、細胞組織の酸素欠乏となります。 酸素で代謝ができなくなると、嫌気性代謝がおこりキニン、ブラジキニン、プロスタグランジンなどの発痛物質が生成され、さらに痛みを増強させるわけです。

難しい言葉を使ってしまいましたが、これらの薬は使用を続けると、同時に末梢血管の血流を減らしてしまい、結果的に体を冷やす方向に働いてしまうのです。

大学病院で漢方診療をしていたときに、こういった患者さんには、僕は体の温まる漢方薬をいくつか同時処方するようにしていました。漢方薬は症状と薬が合致すると、あたかも鍵と鍵穴のように、ほとんどの不定愁訴がうそのように解決してしまうんですよね。その効果に感動して、かなり真剣に勉強した時期がありました。こうすると、冷え症を悪化させるというトラブル無く、痛みを回避できるのです。

痛みは病気になって、もっともつらい症状の1つです。痛みの研究をしたくて、僕は大学を卒業した後の研修で麻酔科を選択したのです。痛みで悩んでいる方は一度御相談ください。いくつかの解決策が提案できると思います。


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