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藤本院長のブログ(新国際学会周遊記)

「コピー&偽造 メディカル美容機器への注意」 医師への警告 知的財産権

アンチエイジングや美容領域におけるレーザー・光治療は、21世紀に入って確立された比較的新しい学問であり技術です。

そのため発展途上な部分もそこかしこにあり、各企業及び研究機関では新しく機器の開発が行われると特許を取得するなどして、自社や時に個人に属する「知的財産」を自分たちで守る必要があります。

機器一台の開発には膨大な時間と研究費がかかりますし、また一台のレーザーは高級外車1台分、時にマンション一部屋分の価格がつきますので、情報の漏えい、技術者のスピンアウトが起これば損害は計り知れません。

2000年以前は比較的寛容だった、米国やイスラエルの機器の模倣が認められるアジア諸国における機器開発も、2000年以降は監視の目が厳しくなりました。

その点幸か不幸か日本は厚生労働省による規制が厳しく、レーザー・光治療器の開発自体に高い壁が聳え立っていますので、日本にいる限り開発チームにすら入れない現状があります。

こうした特許に対する考え方、知的財産に対する知識はクリニック経営でも必要不可欠ですので、今日は少しこのあたりについて書いてみたいと思います。

約一年前、米国レーザー医学会誌に衝撃的な題名の論文が載ったのはこのブログでもご紹介しましたよね。

「偽造メディカル機器への注意」医師への警告

http://clinic-f.com/blog/laser/post_3202/

 

lasers_in_surgery_and_medicine

特に2010年以降の度重なるM&Aなどの企業買収と中国や韓国などにおける「コピー品」と言われる廉価版の流通などによって、米国レーザー企業では研究開発費が底をついています。

構想から何年もかけてその間試行錯誤を繰り返し、やっと完成した製品を世に出した途端、その完成品をバラされてコピー品を作られてしまっては、企業としてはたまりません。

このままでは研究費が枯渇し、新しい機器の研究開発ができないという事態になってしまいます。

現状では、コピー製品とオリジナルメーカーの製品では技術的格差も大きすぎます。

日本の厚生労働省の体質はなかなか変わらないだろうとは思いますが、それにしても米国の厚生労働局であるFDAの認可も取れていない機器を、国内で使うべきではないと僕は思います。

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ここで改めて書くまでもないかもしれませんが、知的財産の戦略はごく最近確立された考え方ではなく、本質的には遙か昔から形成されていた考え方であり、製造方法の秘密です。

知的財産についての講釈では、ヒッタイト王国や中国、ヴェネツィアなどの話が必ず出てきます。

ご存じない方のためにここでご紹介すると

紀元前2000 – 1200年頃に現トルコのアナトリア半島に存在したヒッタイト帝国は、当時全く知られていなかった鉄の製法を知る唯一の国でした。

他の金属よりも固い鉄を武器に用いたヒッタイト軍は、世界を席巻し征服することができました。

ヒッタイトの鉄は金を超えるような価値があるとされ、極めて高額で交換されたと言われています。

同じように中国は磁器や絹の製法が知られていた唯一の地域でした。

これらの製法は長い間秘密とされていたため、他の地域で産出することができませんでした。

つまり、知的財産とは、国家戦略上「合理的な独占形態」を実現するための一手法であるともいえるのです。

近代的な知的財産権の制度としては、ルネッサンス期のヴェネツィア共和国で誕生した特許制度が世界で最初の知的財産権制度なのだそうです。

そして、現代の知的財産権の議論には日本も関わっています。

1980年代の世界貿易は、先進国、アジア地域の高い経済成長につれて順調に推移しましたが、特に日本は1980年代前半の円安期に輸出を伸ばし、1986年には世界シェアが10%を超え、米国と並ぶようになりました。

日本による米国への輸出はアメリカ製品販売の低下を意味し、貿易摩擦問題を引き起こしたのです。

一方で、当時のレーガン大統領は、ヒューレットパッカード社のジョン・ヤング社長を委員長に迎え研究委員会を作ったのですが、ヤング委員長は1985年1月25日に「地球規模の競争-新たな現実」と題する報告書すなわち「ヤングレポート」を大統領に提出したのです。

ヤングレポートの要点は、

米国の技術力は依然として世界の最高水準にあり、それが製品貿易に反映されないのは、各国の知的財産の保護が不十分なためである。それを守るためのパテント政策が必要である。

というものでした。

実際には、安かろう悪かろうと当初予想されていた日本企業の技術力が想像以上に高かったという事が問題点でした。

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Back to the future

先日映画の「Back to the Future バックトゥーザフューチャー」を懐かしく観ながら、当時のアメリカ国民はその事実をわかっていたのだろうなあと思い出しましたよ。


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